本研究では、ポリアミノ酸-ポリ乳酸(PLA)グラフト共重合体のホモ/ヘテロステレオコンプレックス(SC)形成を駆動力としたナノ粒子の創製と薬物キャリアとしての機能を評価した。ポリ(γ-グルタミン酸)(γ-PGA)にポリ(L-乳酸)(PLLA)およびポリ(D-乳酸)(PDLA)をそれぞれ導入したγ-PGA-PLLAおよびγ-PGA-PDLAグラフト共重合体を合成し、PLLAとPDLAのステレオコンプレックス(SC)形成を利用したナノ粒子を調製した。得られたナノ粒子はモデル抗原である卵白アルブミン(OVA)を効率よく内包することが可能であり、粒径200 nmのOVA内包SCナノ粒子はマウスに免疫することで、高い細胞性免疫の誘導効果が認められた。また、PDLA とL-ペプチドのヘテロSC 形成を利用したナノ粒子調製を検討した結果、アセトニトリル中でγ-PGA-PDLAとL-ペプチド(9 mer)を混合することでナノ粒子の形成が確認され、新規ペプチドキャリアとしての有用性を実証した。
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