研究概要 |
生分解性高分子を超薄膜(膜厚100 nm以下)に加工すると、ナノ厚特有の高接着性が発現し、物理吸着のみで濡れた臓器表面に貼付できる。しかし、数cm角のサイズをもつ超薄膜は比較的広い界面である主要臓器には貼り易いが、複雑に入組み蠕動する腸管には貼り難い。特に、炎症を伴う腸管吻合術後、蠕動し互いに接触し合う腸管の癒着をいかに防止できるかが課題である。本研究では、超薄膜の“貼り難さ”を解決する革新的技術「微細に裁断化した超薄膜によるナノパッチワークコーティング」を提案し、腸管に対する新しい癒着防止材に応用することを目的とした。 本年度は、[1] 裁断化超薄膜の調製法を確立した。具体的には、数cm角のナノシートはホモジナイザーにて瞬時に裁断化される(約0.18 mm角)ことを実証し、複雑な形状をもつ界面にも水中でパッチワークコーティングできることを明らかにした。[2] 既報(Ohya, S. et al. Biomaterials 26, 655-659 (2005))を参考に盲腸擦過癒着モデルマウスを立ち上げた。擦過盲腸に裁断化超薄膜にてパッチワークコーティングしたところ、癒着を軽減する傾向が確認できた。
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