本研究は、申請者らが開発した時間変動交流電磁場を用いたきずの断面形状定量化技術に基づく、電磁現象を用いた新たな高分解能断層撮影技術の実現のための研究開発に関するものである。研究の2年目かつ最終年度である平成26年度においては、平成25年度にメカニズム解明のために行われた有限要素シミュレーションにより得られた知見、および整備された測定環境を用い、実際に人体模擬ファントム内部の電気インピーダンスの際に基づく信号の測定試験及び測定データからの断面再構成を行った。人体を対象とした断層撮影を想定して、直径20cmの円筒状アクリルファントムを制作し、信号測定のための磁場センサをアレイ化した上で、発振器からの時間変動電磁場に基づく自動回転ステージ上で回転する模擬ファントムからの信号の空間分布を、回路切り替え装置を用いて測定回路を切り替えつつロックインアンプを用いて測定した。得られた測定信号の逆解析を行うことで、対象内部のインピーダンスの差異をある程度の空間的精度で推定することが可能であること、またその際に要する計算機資源は小さなものであることを確認することが出来た。また、本研究の主たる課題である断層撮影における適切なエネルギー伝送方法策定のための有限要素法シミュレーションを通じて得られた知見に基づいて、マイクロ波を用いた構造物検査のための非破壊検査において、きずからの信号を従来技術に比して著しく明瞭化することが可能である技術を開発した。
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