研究課題/領域番号 |
25750182
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野村 行弘 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (60436491)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医用画像 / 診断支援システム / 機械学習 / 遠隔読影 / 多施設連携 |
研究概要 |
25年度は画像データの多様性に対応した診断支援システムの再学習方法を中心に研究を進めた。単一施設で収集した開発初期症例を用いて学習した2種類の診断支援システム(胸部CTの肺結節自動検出,頭部MRIの脳動脈瘤自動検出)について遠隔読影環境を含む多施設で臨床使用し、再学習に必要なデータ収集を継続的に行った。そして、偽陽性削除処理用識別器の再学習について収集したデータを用いたシミュレーションによる検討を行った。シミュレーションでは、学習に使用する症例数を段階的に変化させるとともに、学習データセットについても、(a)使用施設の症例のみを使用した場合、(b)使用施設と装置や対象母集団が似ている他施設のデータも使用した場合、(c)全施設のデータを使用した場合、の3種類を比較した。再学習を行うことにより施設毎の診断支援システムの性能改善が図れることを示したが、最良な学習データセットは対象母集団、識別器の種類、症例数により異なった。これらの結果を基に施設毎に最適なデータセットを用いて再学習を行った診断支援システムの実装を行い、臨床使用を開始している。医師の読影傾向の経時変化については、識別器の再学習による診断支援システムの性能改善前後における傾向変化を検討するためのデータ収集を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像データの多様性への対応については、再学習による施設毎の性能改善が示され、その成果を診断支援システムに実装し、臨床使用することができた。医師の読影傾向の経時変化については順調にデータが収集されている。
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今後の研究の推進方策 |
対象とする診断支援システムのうち頭部MRAの脳動脈瘤検出では、病変候補抽出処理にも識別器を使用している。そのため、病変候補抽出処理用の識別器も再学習を行えればさらなる性能改善が期待されるが、学習に必要な病変の形状情報の入力作業に時間を要する。26年度は再学習に必要な病変形状のデータを作成した上で、再学習による性能改善について検討を行う。さらに、識別器の種類や学習アルゴリズムを変えた場合の性能変化について併せて検討する。医師の読影傾向の経時変化については、収集したデータを用いた診断支援システムの性能改善前後における傾向変化を中心に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じたのは、掲載が決定した論文の投稿料支払を見込んだものである。 26年度は、病変の形状情報の入力作業を行う診療放射線技師への謝金を支出予定である。また、各種データ保存用の大容量ハードディスク等の物品購入、成果発表に必要な国内外の学会参加のための旅費、学会参加費、英文校閲費、投稿料などに使用予定である。
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