平成26年度は研究代表者が開発した頭部MRA画像の脳動脈瘤検出ソフトウェアを対象に以下の研究を行った。 (1) 偽陽性削減処理用識別器の再学習による性能改善について、学習症例の追加ならびにBoostingの学習アルゴリズムを変えた場合の性能改善効果について検討した。同一施設のデータを用いたシミュレーション実験の結果、検討の範囲内では学習アルゴリズムの変更より学習症例の追加が性能改善に寄与していることが示された。 (2) 病変候補抽出処理用識別器の再学習による性能改善について検討した。装置や撮像条件が異なる多施設データを用いたシミュレーション実験の結果、偽陽性削減処理用識別器だけでなく病変候補抽出処理用識別器も再学習することでさらなる性能改善が図れることが示された。 (3) 日常業務下で脳動脈瘤検出ソフトウェアを併用した放射線技師の脳動脈瘤検出率およびその傾向について検討した。2014年4月~12月までの9ヶ月間にMRI検査を担当した放射線技師9名を対象とし、技師全体では脳動脈瘤検出ソフトウェア併用により検出率が69.3%から72.9%と向上した。個別にみると、9名中5名で検出率向上が認められた。
|