研究課題/領域番号 |
25750183
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 岳洋 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90648700)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肺がん / 触診 / 位置計測 / コンピュータ外科 |
研究概要 |
本年度は、触診デバイスの診断精度向上を行うための基礎検討を行った。 1)感圧導電ゴムによる硬さ計測の安定性向上 これまで、我々の研究室では感圧導電ゴムを用いた触診デバイスについて研究を行ってきた。しかし、感圧導電ゴムは接触状態によって計測結果に大きなばらつきが発生し、定量的な硬さ計測に使用することが困難であることが指摘されていた。これを解決する方法について検証を行った。まず、接触状態を安定化するために、導電性接着剤を用いて導電ゴムと電極を接着することを試みた。しかし、その結果、導電性接着剤を用いると、感圧導電ゴムが全く反応しなくなるという現象が起きた。そのため、電極構造を工夫し、導電性接着剤ではなく、通常の接着剤を用いて感圧導電ゴムと電極を接着した。その結果、従来テープ等で上から固定している方法よりも安定して、かつ高感度に圧力計測をすることが可能となった。 2)位置計測手法の検証 広範囲をスキャンするためには術具と臓器の相対位置を計測する必要がある。そこで、術具の位置計測手法についても検証を行った。ここでは光学式の変位センサを触診デバイスに組み込むことで位置計測を行う手法を提案した。実験の結果、赤色の光(波長650nm程度)では正常に計測が行えなかったものの、青色および緑色(波長450nm、530nm程度)の光では実際の肺においても計測が可能であることが示された。さらに、このセンサと慣性センサを組み合わせることで、一般的な腹腔鏡用術具の位置計測を安価にかつ簡便に行えるシステムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
触診デバイスそのものは完成していないが、安定性向上のための基礎的な知見が得られたことと、新しい位置計測手法を開発できたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も触診デバイスの開発を進めていくが、感圧導電ゴムを用いた手法が本当に適切であるかどうかは慎重に判断しなければならないと考えられる。前年度の研究で計測の安定性は高まったものの、レンジが狭いという欠点は解決できていない。場合によっては振動によるインピーダンス測定等も検討していく。 また、触診デバイスと並行して、切除および縫合を行うデバイスの開発を行っていく。現在使用されている自動縫合器は、直線状にしか切断できないため、胸腔内で肺の一部分を切除する作業は煩雑となる。そこで今年度は自由曲線で自動縫合・切断が可能なデバイスの基礎検討も行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度使用する計画であった感圧導電ゴムが、想定よりも使用量が少なかった。感圧導電ゴムは非常に高価であるため、結果として本年度使用額が大幅に減ってしまった。 次年度には自動縫合デバイスの作成も同時並行で行うことを予定しており、その部品費および加工費に充足させる。
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