研究課題/領域番号 |
25750192
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
平沢 壮 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (60583086)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光音響 / 光超音波 / 血液酸素飽和度 / 機能イメージング / 光学特性 / ウェーブレット変換 / 周波数解析 |
研究概要 |
光音響技術は,レーザー光で励起した超音波(光音響信号)を観測する技術であり,生体表面から10-20 mmの深さにある光吸収体を計測可能である。血液の光吸収特性は血液酸素飽和度に依存するため,本法で血液の光吸収特性を得ることで血液酸素飽和度を非侵襲に計測できる。本研究の目的は,光音響信号の周波数情報を用いて血液の光吸収特性を算出する手法を確立し,血液酸素飽和度分布画像を取得可能とすることである。今年度は下記3項目を実施した。 1. 超音波の周波数情報を用いて血液の光吸収特性を算出する手法の原理検証のために,平面型ファントムを対象にシミュレーション及び実験を実施した。シミュレーション及び実験で得た光音響信号に対して,ウェーブレット変換を施して時分解周波数スペクトルを算出した。時分解周波数スペクトルのピーク周波数の最大値(支配周波数と定義)が光吸収特性を反映することを見出し,支配周波数を用いて光吸収特性を反映するパラメータである光減衰係数を定量できることを示した(Hirasawa et al., Applied Optics, 2013)。 2. 生体の光散乱及び血管径が本法での計測結果に与える影響を明らかとするために,生体組織の光学特性を模擬した散乱媒体中の血管模擬ファントムを対象に検証した。超音波センサの感度分布を焦点化することで,血管径が計測結果に与える影響を抑制した。シミュレーションの結果,支配周波数が血管径に依存せず光減衰係数のみに依存した(Hirasawa et al., Proc. SPIE, 2014)。実験結果において,センサの感度分布と血管径とが同等であることに由来する誤差が観測された。センサの感度分布の縮小により誤差を抑制可能と考えられる。 3. 防衛医科大学校動物実験倫理委員会の承認を得たうえで,次年度以降に実施する動物実験のための予備実験を既に実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,研究実績の概要欄に示す,1~3の項目を実施した。 これらのうち,平成25年度に実施予定であった1及び2に関しては,超音波センサの改良の必要性が生じた2のファントム実験を除き完了しており,おおむね順調に進展している。 また,平成26年度以降に実施予定であった動物実験に関しては,3に示す通り防衛医科大学校動物実験倫理委員会の承認を得たうえで予備実験を開始しており,当初の予定よりも進展している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度末に超音波センサの改良が終了したことから,改良済みの超音波センサを用いてファントム実験を実施する。 平成25年度に先行して実施した予備実験における検討結果を基に,本法の検証のための動物実験モデルを確定した上で動物実験を実施し,動物を対象にした場合にも本法が有効であることを実証する。 以上の検討と並行し,平成27年度に予定しているイメージング装置への適用に向けたハードウェアの構築を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画においては,焦点型の超音波センサを自作するための圧電フィルム素材及び電子部品材料を購入する予定であったが,既存のセンサによる検討が可能であったため購入しなかった。機器制御・信号処理用計算機を購入予定であったが,現段階では既存の計算機を有効活用することにより代用したため,今年度は購入しなかった。国際学会(SPIE Photonics West Biomedical Optics, BiOS2014)での研究発表に係る旅費として本助成金を使用する予定であったが,大学校の予算を使用可能であったため本助成金を使用しなかった。 次年度以降実施する動物実験において動物実験用の消耗品が必要となるため,これらの購入費用に充当する。計測対象に光を照射するための光学系について検討する必要が生じたため,光学系検討のための部材購入のために使用する。イメージング装置と組み合わせるためのアレイシステムの構築に向けて必要な電子機器を購入する目的で使用する。さらに、研究調査または発表するための学会参加費・旅費として使用する。
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