研究課題/領域番号 |
25750201
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
李 佐知子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80599316)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 痙縮 / 脳梗塞 / リハビリテーション |
研究概要 |
我々はげっ歯類における脳梗塞後痙縮発症モデルの確立を行った(Lee S et al. Cell Death & Disease. 2014.16;5:e1007)。本モデルを用いた痙縮発症メカニズムの解明に取り組んでおり、平成25年度の研究目的として初めに、「研究1spasticity(痙縮)による骨格筋の可塑的変化の分子生物学的機序」として、実験1:アセチルコリン受容体の発現変化と実験2:神経筋シナプス数の変化について解析し、実験1については脳梗塞後4週までアセチルコリン受容体の発現変化は見られなかった。次に実験2ではシナプス数、神経筋接合部の二重神経支配および軸索の発芽現象を確認したところ、脳梗塞後4週間ではコントロール群では全く軸索発芽や神経筋接合部の二重神経支配はみられないが、脳梗塞後4週間では1筋に対して1~2つの軸索発芽や二重神経支配が観察された。今後経時変化を行う予定である。 次に、「研究2:spasticity発症の分子生物学的機序」として、実験3脳卒中後spasticityが出現する筋と出現しない筋に着目し、spasticity出現の有無をH反射RDDで確認することを行った。H反射は脊髄反射であり誘発電位反射である。H反射が出現する筋と出現しない筋が存在する。げっ歯類では手掌筋ではH反射が確認されているが、他の上肢の筋ではH反射の確認報告はされていない。我々は前腕の筋においてH反射出現確認を試みたが確認はできなかった。そのため研究2の解析方法を変更した。先行文献より脳幹の神経細胞が筋緊張に関与するとの報告があることから、脳梗塞後の脳幹における神経細胞活動をc-fosを用いて確認することとした。現在c-fos発現変化を確認している。さらに研究3:脳卒中マウスの協調的運動効果の分子生物学的作用機序では、当初予定の実験を終え、予想通りの結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1~3において、当初予定していた平成25年度の実験を行えている。研究2においては、研究方法で示した実験では確認できなかったが、改めて実験計画を立て直して研究は進捗しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究1においては、経時変化を確認することで成果が確認できると考えられるのでそのまま推進する予定である。研究2においては、実験2でのシナプス越え逆行性トレーサーの使用も現状では困難であると先行研究での報告にあるため、代替手段を検討している。シナプス越えトレーサーではなく、通常の逆行性トレーサーを用いつつ、神経細胞マーカーを用いて特定の神経細胞での変化を可視化できるように工夫する予定である。また脳幹と痙縮との直接的な関係を確認するために、回路切断実験を行うよていであり、当初考えていた実験計画と勝るとも劣らない計画になっていると考える。研究3においては、おおむね成果が確認できているので、論文にまとめることを検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験の進捗がよかったので前倒し請求を実施したが、前倒し請求の全額を使用する必要がなかったため、次年度への繰り越しとした。 消耗品(抗体、試薬)などに使用する予定。
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