最終年度実施研究の成果について 【①spasticity 発症の分子生物学的機序】逆行性トレーサを用いて脊髄運動神経細胞と神経接続のある脳幹延髄網様体神経細胞の活動性を神経活動依存的に発現が増加するc-fosを用いて調べたところ、延髄網様体腹側核においてsham群と比較して脳梗塞群でc-fos陽性細胞数が有意に増加していたことがわかった(p <0.05)。つまり、脳梗塞後痙縮発症マウスでは、脊髄に投射している延髄網様体神経核の神経細胞は活動性が亢進していた。 【②脳卒中マウスの協調的運動効果の分子生物学的作用機序】先行研究で報告のあるヒト脳卒中患者を利用したRhythmic でcyclic な運動によるspasticity 軽減効果(Diserens.et.al. J NeuroloSci. 2007、Zehr. et.al. J Neurophysiol.2012) を脳卒中マウスを利用し作用機序の解明を目的とし、脳卒中マウスspasticity 出現後に Rhythmic でcyclic な運動を介入し、H 反射RDD で解析する。また運動神経細胞のKCC2 発現変化などを確認した。痙縮の指標であるH反射のRDD弱化はは軽度な運動により見られなくなった。さらにKCC2の発現は痙縮により軽減するが、脳梗塞後軽度な運動実施群では運動未実施群と比較してKCC2発現が回復していた。このことから、軽度な運動により痙縮が軽減する可能性が示唆された。
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