研究課題/領域番号 |
25750203
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野嶌 一平 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20646286)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 可塑性 / 運動学習 / 視覚刺激 / リハビリテーション / 経頭蓋磁気刺激 |
研究概要 |
運動錯覚を伴う視覚入力が大脳皮質の一次運動野に可塑的な変化を誘発する神経生理学的メカニズムを検討するため、最適な視覚刺激条件の検討を健常人を対象として実施した。我々は先行研究で、運動錯覚の程度が強く誘発されるほど一次運動野の興奮性が増大する可能性を報告している。そこで今年度は様々な視覚提示条件による一次運動野の視覚刺激中の興奮性変化を経頭蓋磁気刺激を用いて検討した。その結果、実際の手と同等の大きさで視覚提示する刺激条件において有意な可塑的変化が見られた。また刺激呈示方向を反転させる、運動イメージをさせる方法と比べても、正位での視覚入力による一次運動野の興奮性は有意に高いことが示された。更に、連発刺激を用いて皮質内の興奮性および抑制性の機能を調べることができる刺激方法を用いて、視覚刺激介入中の脳内での変化を検討した。その結果、皮質内促通機構でのみ運動錯覚が発生している正位での視覚入力で有意な興奮性増大を認めた。皮質内の制御機構は一次運動野の興奮性を調整する重要な機構であることが示されており、視覚入力により変化がもたらされたことは、重要な所見である可能性がある。一方、運動機能に関しては、69名の健常成人を対象として、視覚入力条件の違いによる運動学習効果を検討した。その結果、一次運動野の興奮性変化の結果と同様、正位での視覚刺激入力が最も運動学習効果が高いことが示された。これらのことは、健常人における運動学習方法としては、自身の手のサイズと同じ大きさでの運動錯覚が強く出現する視覚入力を与えることで、皮質内興奮性機構が活性化され、大脳皮質の興奮性が増大することで、運動学習が促進された可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動錯覚を効率的に誘発できる視覚刺激条件を検討を実施した結果、我々が先行研究で用いた方法が最も効果的である可能性が示された。またその際の大脳皮質内興奮性メカニズムに関する機序が少し明らかになってきているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度より更に詳細な条件設定を行い、視覚刺激による大脳皮質の興奮性変化機構のメカニズムを検討していくとともに、臨床応用に向けた準備をはじめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ計画通りであったが、被験者への謝金支払が少なかったため、次年度使用学が生じたものと考える。 被験者への謝金、学会への渡航費に使用する。
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