虚血による神経の損傷は、中枢や末梢に関わらず、リハビリテーションの対象となり、そのメカニズムを解明することは非常に重要である。我々は、細胞内の低酸素性誘導因子(HIF-1a)を誘発するとされるコバルト(Co)が、培養末梢神経細胞の軸索内ミトコンドリア(Mt)および軸索変性に与える影響を観察した。その結果、高濃度のCoは軸索内の輸送Mtの数および停留Mtの長さを減少させ、軸索変性の指標の1つである軸索腫脹の数を増加させた。また、電子顕微鏡による観察の結果、Mtの構造が破壊されていた。現在、本結果がCoにより誘発された低酸素性誘導因子の影響か、Coそのものの影響なのかを検討中である。
|