研究実績の概要 |
受傷直後から生体電位センサを用いたトレーニングと手術後早期からのリハビリテーション介入は、脊髄麻痺患者の予後を改善する可能性がある。歩行障害を主訴にした脊随不全麻痺患者に対して積極的にロボットスーツHAL を用いた超急性期からのシームレスなリハビリテーション介入を行った。初年度当院に入院し歩行障害を主訴とする対象症例は4例であった。またHALを用いたリハビリに移行する前に生体電位センサを用いたトレーニングを実施できた症例は1例であった。 リハビリの詳細は、基本的に手術にて脊髄圧迫の解除を行った後に、生体電位センサトレーニングを行い、できるだけ早期にリハビリテーション病院へ転院の上、HALでのリハビリを開始した。この4例に対してHALの前と後にAmerical Spinal Injury Association Impairment Scale (ASIA),Functional Independence Measure locomotor (FIM-L),10m 歩行速度を用いて評価を行った。評価内容に関しては現在集計し、解析中である。また1例に対し、生体電位センサを用いて早期からのリハビリ導入を行った症例に関して、第51回リハビリテーション学会にて発表を行った。 生体電位を視覚化できるデバイスを用いた早期筋力トレーニングは、患者に筋肉の活動をダイレクトに視覚的に伝えることができ、目標とする筋に対するリハビリを促進する効果が認められた。 HALは、下肢に装着するデバイスであり、身長が低い患者(150㎝より低い方)には使用できないという、患者の体格への条件もあるが、使用によって歩行バランスの獲得がなされる症例がみられた。 本研究は、今後の新たなリハビリテーション方法の開発に関して、特に脊髄不全麻痺患者で歩行障害を主訴とする患者への福音となることを期待している。
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