研究課題/領域番号 |
25750223
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
武井 良子 昭和大学, 歯学部, 特別研究生 (40534764)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エレクトロパラトグラフィ / 超音波診断装置 / 構音障害 / 構音訓練 / 機能性構音障害 |
研究実績の概要 |
1.超音波画像を基にした舌表面の3次元モデルの構築:平成25年度に開発を行った舌形状3次元モデル構築システムの改良を行った。システムの改良により舌表面を自動的に抽出することが可能となったが、まだ画像によって舌表面の自動抽出が困難な場合があるため、さらなる改良が必要である。また、健常人の舌標準モデルを作成し、それを変形させることにより構音障害患者の舌表面を構築することを試みた。研究成果の一部を論文(超音波医学,42:75-82,2014)および学会発表(第87回日本超音波医学会)にて報告した。 2.EPGを用いた健常人の構音動態の分析:自然な発話状態に近い舌の構音動態を明らかにするために、健常人の連続発話時の舌と口蓋の接触様式をEPGを用いて分析した。データ採取のための検査プロトコルおよび採取したデータの分析手法を確立した。健常人の連続発話では、舌が硬口蓋後方側部へ持続的に接触することが観察された。また、異なる速さの連続発話時の構音動態についても比較検討を行い、発話速度の違いが構音動態の変化に影響することを明らかにした。これらの研究成果について、2演題の学会発表(第59回日本音声言語医学会)にて報告した。 3.構音障害患者の構音動態の分析:機能性構音障害(側音化構音・口蓋化構音)および舌癌術後症例の舌の構音動態を、超音波画像およびEPGを用いて観察した。平成27年度は、今年度分析を行った健常人のデータを構音障害患者のデータと比較し、分析結果を学会発表および論文にて報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.超音波画像を基にした舌表面の3次元モデルの構築については、東京都市大学知識工学部情報学科との共同研究により順調に進んでいる。 2.EPGを用いた構音動態の分析については、今年度の健常人を対象とした研究で検査プロトコルおよび分析手法が確立されたため、構音障害患者の検査データの採取・分析も滞りなく進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成26年度に引き続き、構音障害患者の超音波画像とEPGデータを収集し、舌超音波画像とEPGモデルの作成を行う。 2.超音波画像およびEPGを用いた視覚的構音訓練を構音障害患者に適用し、その効果判定を行う。 3.健常人と構音障害患者の舌の構音動態の違いについて、結果をまとめて学会発表および論文にて報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
被検者となる構音障害患者の選出が年度の後半に集中し、EPGパレート作製が次年度に持ち越すこととなった。また、当初発売されると予測していたEPG録音録画システム(WinSTARS)の発売が次年度になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
データの収集および分析をよりスムーズに進める為、近日発売予定であるEPG録音録画システム(WinSTARS)を購入する予定である。また、EPGデータを蓄積するために構音障害患者のEPGパレートの作製を継続して行う必要がある。3年間の研究成果を報告するため、学会参加旅費、論文投稿費が必要である。
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