1.超音波画像を基にした舌基準モデルの構築と動画化:比較的明瞭な画像が得られる健常者の超音波画像に画像処理手法を適用することで半自動的に舌基準モデルを構築し、時系列的に得られる超音波画像の特徴点を基に舌基準モデルを変形することで、舌運動を動画化する手法について検討した。健常者の超音波前額断面像を基に画像処理手法やスプライン近似を行うことで、舌基準モデルの構築が可能となり、不鮮明な画像でも舌の動画化が可能となった。また、日本語母音/a//i/発音時において、舌基準モデルの特徴点を時系列的に補間することで、発音の変化に応じて舌の動きを可視化することが可能となった。研究成果の一部を学会発表(第89回日本超音波医学会)にて報告した。 2.健常人および構音障害患者の構音動態の分析:健常人および構音障害患者(機能性構音障害症例、舌癌術後症例、口唇口蓋裂症例)の構音児の舌運動を超音波画像およびエレクトロパラトグラフィ(EPG)を用いて観察し分析した。そのうち、ラ行音に後方化の誤りを認めた機能性構音障害例について学会発表(第61回音声言語医学会)にて報告した。ラ行後方化症例では、ラ行音産生時に舌が硬口蓋後方側部のみに接触する健常人とは異なるパターンを示していた。また、ラ行音以外の歯茎音においても健常人とは異なった構音動態を示すことがあり、音節では誤りがなくても連続発話で誤りが生じることが示された。 3.視覚的構音訓練の実施:構音障害患者に対して、EPGを用いた視覚的構音訓練を実施した。
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