研究課題/領域番号 |
25750225
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
荻野 拓也 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30645247)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歩行 / 二重課題 / 脳血流 / 脳卒中 / 転倒 / 片麻痺 |
研究概要 |
転倒リスクの高い高齢者や脳卒中患者は、歩行時の認知課題付加(二重課題)により歩行能力が低下することが報告されている。本研究では、歩行時の二重課題が大脳皮質運動関連領野の脳血流動態に与える影響について明らかにし、脳機能評価を用いた新しい転倒予防戦略を構築することを最終目標としている。この目標を達成するため、平成24年度は、健常者の歩行時の認知課題付加が大脳皮質運動関連領野に与える影響について明らかにすることを目的とした。研究環境を整えるため、研究計画に準じ、トレッドミル、歩行分析装置オプトゲイト(酒井医療株式会社)を購入した。被験者は健常者5名とし、トレッドミル上で快適速度の歩行を行うSingle-taskと認知課題(spontaneous speech課題)を付加するDual-taskを行い、その際の皮質血流動態、歩行パラメータの測定を実施した。脳血流動態の測定は光トポグラフィ装置ETG-400(以下NIRS;日立メディコ株式会社)を用い、22チャンネルを内側運動感覚野、運動前野、補足運動野を対象とした。歩行パラメータの測定はオプトゲイトを用い、歩幅などの距離的指標、ステップ時間などの時間的指標を測定した。結果は、Dual-taskにおいて補足運動野の特異的な血流低下が認められた。さらに被験者を増員させ研究の精度を高めることを検討していたが、トレッドミル歩行は平地歩行に比べて歩行パラメータや筋力活動が異なること、オプティックフローの影響が反映されないことなどの差異が存在し、計測した脳血流動態が実歩行を反映していないことが危惧された。そこで、研究の進捗状況は遅延してしまうが、研究を一時、停止し、実歩行における脳循環動態を測定するための測定プロトコルの作成を行った。現在、平地歩行における脳循環動態の測定プロトコルの作成を終え、健常者の快適歩行速度で歩行するsingle-taskの測定を行っており、早急にDual-taskの測定も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初に計画していたトレッドミル歩行の測定プロトコルから、新たに平地歩行の測定プロトコルを作成したため、研究計画の若干の遅延が生じている。しかしながら、現在、平地歩行の測定プロトコルの作成を終えており、早急に今年度の研究計画を完結し、さらに来年度の測定を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平地歩行時の脳循環動態測定の測定プロトコルが確立され、次年度からは、脳卒中症例の測定を開始し、症例数を増やしていく予定であり、計画どおり脳卒中患者における歩行時の二重課題による脳血流動態への影響について検討を行っていく予定である。 来年度の研究費は、新たに作成した平地歩行の脳循環測定プロトコルに必要な研究機器を当初の購入計画から変更して購入する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定しいたトレッドミルを別品にて安く購入することが可能となり、次年度使用額が生じた。 平地歩行の脳血流動態測定プロトコルにておいて、平地歩行の歩行パラメータを測定するため歩行分析装置オプトゲイト(酒井医療株式会社)の延長パーを購入する予定である。その他の研究費は、当初の計画通り、研究消耗品および学会発表のための旅費を中心に使用する予定である。
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