本研究は、歩行時の二重課題が大脳皮質運動関連領野の脳血流動態に与える影響について明らかにし、脳機能評価を用いた新しい転倒予防戦略を構築することを最終目的としている。この目標を達成するため、24年度はトレッドミル、歩行分析装置オプトゲイト(酒井医療株式会社)を購入し、研究環境を整え、測定を実施した。しかしながら、トレッドミル歩行では、平地歩行に比べて、二重課題付加に伴う歩行パラメータ-の変化(歩幅の減少や歩行スピードの低下)や筋活動が異なることなどの差異があり、計測した脳血流動態が平地歩行を反映していないことが危惧された。 25年度に入り、平地歩行における脳血流動態を測定するプロトコルを新たに作成し、トレッドミル歩行と平地歩行の脳血流動態が異なることを明らかにした(第44回日本臨床神経生理学会にて発表)。この研究により、健常者の快適歩行速度で歩行するsingle-task時の脳血流動態の測定を終えた。現在、dual-taskの測定を行っており、大脳皮質運動関連領野の特異的な変化がみられており、被検者数を増やし、学会、論文にて発表していく予定である。
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