研究実績の概要 |
当該年度では,脳出血後のスキルトーレニングが大脳皮質感覚運動野における神経可塑性関連遺伝子に与える影響について検討した.実験群として,SHAM群,脳出血群(非運動),脳出血+スキルトレーニング群を設定した.脳出血モデルラットは左線条体にコラゲナーゼを微量注入して作製した.スキルトレーニングとして,アクロバティック課題(縄梯子,格子台,綱渡り,平行棒,障壁)を1日4回,術後4日目から28日目まで実施した.神経可塑性関連遺伝子として,MAP2(樹状突起関連遺伝子), BDNF(脳神経由来神経栄養因子), GAP43(軸索成長関連遺伝子)をリアルタイムPCR法を用いて解析した.遺伝子解析は,脳出血後14日目と29日目に実施した.脳出血後29日目ににおいて,傷害側大脳皮質感覚運動野のMAP2mRNAが脳出血後のスキルトレーニングよって有意に発現が増加した.また,BDNFmRNAがSHAM群と比較して有意に発現増加した.非傷害側感覚運動野においては全群間に有意差はなかった.脳出血後14日目では,両側大脳皮質感覚運動野において,全群間に有意差はなかった.本研究から,脳出血後のスキルトレーニングによる機能回復は,樹状突起関連遺伝子が関与していることが分かった.今後は,他の神経可塑性関連遺伝子の解析や,運動学習に関わる線条体や小脳の解析を考えている.
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