研究課題/領域番号 |
25750233
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
伊藤 慎英 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (30646980)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歩行分析 / 痙縮 / トレッドミル |
研究概要 |
三次元トレッドミル歩行分析システムKinemaTracer(キッセイコムテック社製)は,CCDカメラをトレッドミル周囲に4台配置させ,両側の肩峰,腸骨稜,股関節,膝関節外側上顆,外果,第5中足骨頭の計12個のマーカを装着させた対象のトレッドミル歩行を撮影し,得られた動画を三次元化後,マーカ座標データから時間距離因子,関節運動,各マーカの前額面・矢状面・水平面のリサージュ図形の指標が自動で作成され,分析を可能にするものである.当該年度の目的は,この歩行分析システムをもとに,歩行中の痙縮の定量的評価システムの策定することであった. 以下の検討を行った. 第一に,痙縮によって生じる内反尖足,足クローヌス,膝のこわばりの指標となる膝関節内側上顆,内果,第2中足骨頭,踵骨隆起の4カ所のマーカ,および上肢の痙縮も計測できるよう手,肘関節にマーカを追加し,現システムの撮影環境で計測できるか検討したところ,当初の想定通り,CCDカメラを4台追加する必要があることが分かった. 第二に, 内反尖足およびクローヌスの微細な動きの分析精度を向上させるため,マーカ最小化の検討を行った.健常者3名に,30,20,15mmの半球マーカの3通りを用い,トレッドミル速度5km/hと1.5km/hでの通常歩行と,1.5km/hでの模擬片麻痺者歩行での計測を行った.1回の検査における三次元化処理に要する時間は,30mmで最大13分間,20mmで45分であった.20mmでの模擬片麻痺歩行では,踵骨隆起マーカの自動認識処理が不可とあることがあった.15mmではマーカの自動認識処理が不可となることが多発した.臨床応用における本計測法では30mm半球マーカを用いる必要があることが分かった. 第三に,上記の検討内容を踏まえた方法のトレッドミル歩行分析を片麻痺者5名に実施し,各マーカを撮影できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計測機器の三次元動作解析装置KinemaTracerの納品が9月末となったため,片麻痺者の計測が少なくなり,研究の達成度がやや遅れてしまっていると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の計画は,当該年度に作成した計測方法を片麻痺症例で追加検証した上で,歩行中の内反尖足,足クローヌス,膝のこわばりの指標作成とその妥当性の検討することである.歩行時に痙縮がみられる中枢神経疾患患者と健常者を対象に,内反尖足,足クローヌス,膝のこわばり,それぞれに作成した指標を比較検討する.さらに,各指標と歩行分析に習熟した理学療法士の評価から指標の妥当性を検討する予定である. 平成27年度の計画は,作成した指標を用いて,A型ボツリヌス毒素による痙縮治療例における治療後の歩行の定量的変化について評価を行う.各評価結果の関係から治療効果の検討を行い,治療の経時的変化を明らかにするとともに,痙縮による歩行障害の歩行分析システムの有用性について検証する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果発表用の大型ポスター印刷費として計画していたが,当該年度内の発表は見送ったため. 研究成果発表用の大型ポスター印刷に使用予定.
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