研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、治療者の経験などに依存してきた脳卒中片麻痺患者の歩行訓練を、定量的な指標に基づく新たな歩行訓練にすることである。本年度は定量的指標を作成するためのデータ収集を行った。対象は回復期リハビリテーション病棟に入院し、意識障害、重篤な高次脳機能障害により指示理解が不良なものは除外した初発の脳卒中片麻痺患者とした。入院から2週後と6週後にトレッドミル歩行分析を行った。下肢装具は平地歩行で使用しているものとした。対象者の身体にマーカを、両側の肩峰、股関節、膝関節、足関節、爪先の10カ所に貼着した。得られた3次元座標をデータ統合解析ソフトウェア(Kineanalyzerキッセイコムテック社製)で解析し、時間因子、距離因子、運動学的因子を検討した。本年度に取得できたデータは67例であった。入院から2週後のStroke Impairment Assessment Set(SIAS)の麻痺側運動機能項目であるHip-Flexion Test、Knee-Extension Test、Foot-Pat Testの3項目の合計点(0-15点)は0-5点の重度麻痺者が15例、6-10点の中等度麻痺者が33例、11-15点の軽度麻痺者が19例であった。引き続きデータ取得を行い、補助具・下肢装具の有無による層別化を行う。さらに、歩行訓練に使用する指標であるため、特異的な歩容である患者の選別を得られた定量的データから行うことを予定している。
2: おおむね順調に進展している
本年度に取得できたデータは67例であった。麻痺重症度別で各群、15例以上のデータが取得できており、概ね順調である。引き続きデータ取得を進めて、歩行訓練に使用する定量的指標を作成する。
今後もデータ収集および解析を行い、定量的指標を作成する。一定の症例数を集め、麻痺重症度および下肢装具や手すりの使用有無により層別化を行う。特に、片麻痺者の歩行で問題となりやすい、麻痺側振り出し時の足部の引きずり、立脚中期での反張膝や膝折れなどの指標を定量化していく。
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