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2015 年度 実施状況報告書

運動器不活動後の広範囲慢性痛に対する新たな理学療法戦略構築のための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 25750237
研究機関愛知医科大学

研究代表者

大道 裕介  愛知医科大学, 医学部, 講師 (50506673)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード慢性痛 / 不活動 / 酸化ストレス / 運動器 / 神経性炎症
研究実績の概要

ギプス固定除去2時間後に固定側後肢に血漿成分が血管外へ漏出することををエバンスブルー(EBD)で定量化することができた.そこで今回,固定側下腿部における漏出局在を検索した.その結果,主な漏出部位は,浅筋膜,深筋膜,滑膜であった.予想に反し漏出の少なかった骨格筋では,少ないながらもヒラメ筋で比較的有意な漏出量の増大を認めた.次にギプス除去による後肢の虚血再潅流障害の評価を行うにあたり,ギプス固定除去後の後肢を固定・採取し,さらに脱灰後,パラフィン包埋し,下腿水平断全域をマウントした標本作製に成功した.それらをヘマトキシリン・エオシン染色でし,下腿全域の組織病理所見を検証した.ギプス固定最終日,除去2時間後,1日後の標本で浅筋膜を中心にリンパ球の浸潤を認めたが,虚血再潅流障害時に見られるような障害細胞とそれらに凝集する好中球浸潤は認められなかった.ギプス固定除去によって再潅流障害が生じる可能性は低いことが示唆された.さらに同標本を用いて酸化ストレスの末梢局在を検証するため,DNA酸化損傷マーカーである 8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG / 8-oxo-dG:以下8-OHdG)を用いて免疫染色を進めた.現在のところ,我々の技術では脱灰標本を用いた染色において,シグナルを検出するに至っていない.種々の免疫賦活化手法を用い,シグナルの検出ができる染色条件の探索を進めている.また第 5 腰椎背側の血管内皮細胞における血液脳脊髄関門 の破綻を検証するため,CPCP および無処置群にEBD 静注後,PBSで潅流脱血し,第5腰髄をサンプリングした.サンプリングした第5腰髄内に漏出したEBDをホルムアミドで抽出し,EBD量を比較したところ,現状の方法ではCPCP群と無処置群で有意な差を検出するには至らなかった..

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

講座内の人事にともなう研究体制の拡大のため,実験室の大規模改修が長期にわたり行われ,実験を行うことができなかったため.

今後の研究の推進方策

ヘマトキシリン・エオシン染色にて,固定部後肢の組織病理所見を検索した結果,ギプス固定除去によって再潅流障害が生じる可能性は低いことが示唆された.しかしながら活性酸素スカベンジャーであるTempolを用いた薬理行動実験においては,CPCPモデルラットにおける慢性的痛覚過敏行動は有意に抑制できているため,末梢において酸化ストレスが増大している高い可能性が予測される.よってCPCPモデルラットの固定肢に認められる強い神経性炎症の誘発に酸化ストレスが関与している可能性は否定しがたい.よって固定肢にける酸化ストレス局在を調査するため,DNA/RNAダメージ,タンパク質酸化,脂質過酸化ダメージ,ROS&抗酸化物質アッセイを用いた免疫染色,ウエスランブロッティング,ELISAを中心に行い,酸化ストレスの局在と量的変化についても調査する.またDRGにおける神経ペプチド(CGRP,Substance P)や神経栄養因子(NGF,BDNF),これらのレセプター(Nk1,TrkA/B)の発現などについて,特異抗体による免疫染色やウエスタンブロッティング,ELISAを用いて,これらの発現変化を調査する.さらに活性酸素レセプターであるTRPM2の末梢組織における発現変化についても検証を進めて行く.

次年度使用額が生じた理由

研究室の大規模改修にともない研究を実施できない状況であったため,大きな支出源である抗体,プライマー,試薬,動物などの購入を行わなかったから.

次年度使用額の使用計画

研究業績の国際誌への出版にむけて,校正業者や出版社への支出を予定している.またに神経ペプチド(CGRP,Substance P)や神経栄養因子(NGF,BDNF),これらのレセプター(Nk1,TrkA/B)の発現などを調査するため特異抗体を購入する.また免疫染色に伴う試薬などの消耗品の購入を行う.ウエスタンブロッティングやELISAについても必要抗体,プレートなどの購入を行う.またPCRにてメッセージレベルでの量的発現を調べため,必要プローブの作成,RNAの抽出キット等の関連消耗品の購入を行う.DNA/RNAダメージ,タンパク質酸化,脂質過酸化ダメージ,ROS&抗酸化物質アッセイを指標として酸化ストレスの局在と量的変化を検索するにあたり,場合によっては専門業者への外部委託も検討している.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 不動化が誘発する自発痛関連行動と広範囲機械痛覚増強における扁桃体ドパミンの動態2016

    • 著者名/発表者名
      大道裕介
    • 学会等名
      第121回 日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      福島
    • 年月日
      2016-03-28 – 2016-03-30
  • [学会発表] 不動化による痛み2016

    • 著者名/発表者名
      大道裕介
    • 学会等名
      第3回筋性疼痛研究会
    • 発表場所
      愛知
    • 年月日
      2016-01-09
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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