運動器不活動後の広範囲慢性痛に対する新たな理学療法戦略構築するため,我々が開発したCPCPモデルを用いて,病態機序の解析を行った.二週間のギプス固定により,固定部後肢の広範囲(筋,筋紡錘など)に酸化障害が生じることが分かった.また,この酸化障害は,固定側の痛覚受容ニューロンの過剰興奮を引き起こし,不動肢に神経原性炎症を誘導することが示唆された.この神経原性炎症で生じた神経ペプチドシグナルは,脊髄後角ニューロンの過剰興奮を引き起こし,中枢性感作を引き起こすことが示唆された.また慢性期の痛覚増強行動に関与する脊髄アストロサイトの活性化は,固定肢の酸化障害から続発することが示唆された.
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