研究課題/領域番号 |
25750247
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
CHU SHINYING 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 流動研究員 (50633252)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 吃音 / 客観・主観評価 / 治療 / 訓練 / fMRI |
研究概要 |
本研究の目的は,成人吃音者において、ビデオセルフモデリング(VSM)訓練の効果を検証することである。VSMの有効性の検証は下記の2つの方法で実施する。 1 訓練の前後において客観的評価(吃音検査を用いた言語評価)と、主観的評価(S-24,UTBAS,OASESなど吃音に特化した質問紙に加え、社交不安傾向を計測するLSAS-Jなどの質問紙を用いる)を実施し、その差を検証する。 2 訓練の前後においてfMRIを用いて脳活動を観測し、ビデオセルフモデリングの訓練に関連する神経機構の可塑性や学習効果を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に、5名の吃音者の訓練前後に関する客観・主観評価の結果を比較・分析し、ビデオセルフモデリングによる訓練の有効性を検証した。しかし、当初の計画によって予想されるように、10人の対象者のデータを収集した。吃音の問題の軽快化を目指しビデオ・セルフモデリング実験を実施した。訓練前後に脳機能計測を実施して吃音者の発話の病態を解明することと、治療の効果を検証することを目的に、fMRI実験を実施した。fMRI実験のための単語リスト2セットを開発した。そして、5名の吃音者と5名の健常被験者に対し、MRIを用いて脳活動の観測を行った。MRI装置の中で音を聞いたり文字を読んでもらい、そのときの脳の働きを調べた。現在、fMRIデータに関しては、MRI画像解析ソフトデータの処理を検証中であり、吃音者が示す脳活動パターンを調べて5名の健常被験者と比較する事が平成26年度の計画である。
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今後の研究の推進方策 |
1.さらに対象者を増やし、ビデオ・セルフモデリング訓練の有効性を検証する。 2.訓練効果の持続性と汎用化を検証するため、訓練の6ヵ月後に再度発話を記録し、吃音評価を行う。 3.さらに対象者を増やし、脳活動を治療前後・治療の種類と効果によって分析し、また非吃音者と比較しつつ、吃音者が示す脳活動パターンを調べ、吃音の病態を脳機能から解明する。吃音者が示す脳活動パターンを調べ、健常被験者と比較する。fMRIデータに関しては、MRI 画像解析ソフト(Statistical Parametric Mapping、SPM)によりほぼ全脳について検討するが、特に吃音で機能異常が知られている言語野と運動野の活動を中心に、治療前後・治療効果による違いを比較し、吃音者が示すパターンを調べ、健常被験者と比較する。 4.研究の成果を国内・国際会議に発表し学術論文として発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は実験がアンケートとビデオレコーディングしか含まれなかった為物品費は高くなかった。データ分析の為に使用されたソフトは無料ソフトであり、予算の大部分は学会の旅費や参加費に充てられた。実験の計画や準備の為学会への参加は必要であった。国内・国際会議においてパイロットデータを発表した。 来年度は国際会議での発表や論文の発表に予算が充てられる。1) Chu et al (2014). Evaluation of the Japanese translation of the UTBAS scale for adults who stutter.Interspeech, Singapore。 2) Chu et al(2014). Psychometric Evaluation of the Japanese Unhelpful Thoughts, Beliefs, and Anxiety about Stuttering. ASHA, Orlando, USA.
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