本研究では,感情の状態により表出される言葉以外の姿勢や行動を計測することで情動の認識を試みた. 認識する対象である感情は明確にモデル化することが難しく,様々な感情モデルが考えられている.感情を表すために快適性と覚醒性の2つの軸がよく用いられており,本研究では「快適-不快」「覚醒-眠気」の2次元で表される平面上に感情が円環状に配置しているラッセルの円環モデルを用いた.本研究ではこの2次元空間を4つに分割することで,4種類の感情を認識することを目的とした. センサを内蔵した椅子のように設置型のデバイスでは身につける必要はないが,計測できる範囲が限定される.加速度センサなどのデバイスではどこでも計測できるが,身につけるのが非常に面倒であり,日常生活で身につけることを考えると実用的には難しい.そこで,本研究では,一般的な衣服と変わらない感圧導電性繊維で作られた衣服(感圧導電性衣服と呼ぶ)を着用することで身体の動きを計測し,感情を認識する研究を行った. 感圧導電性衣服の6箇所の計測値から,行動認識の研究で一般的に用いられている,平均,分散,周波数成分(4種類),零点交差率,積分という計8つの特徴量を計算した. 周波数成分はハミング窓をかけ高速フーリエ変換による周波数分析を行った.周波数分析の結果から5Hz~8Hz,9Hz~16Hz,17Hz~32Hz,33Hz~64Hzという4つの範囲に分け周波数成分を計算した. 決定木,Random Forest,Multilayer Perceptron (MLP),サポートベクターマシン(SVM)による機械学習を行い,交差検証による精度評価と比較を行った.
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