研究目的は、脳卒中片麻痺患者の麻痺足を回復させる下肢リハビリトレーニング支援ロボットの有効性の確認である。これを達成するために、1.下肢リハビリトレーニング支援ロボットの設計と製作。2.支援装置用リニアモータの開発。3.支援ロボット用制御装置の構築。4.被験者実験による性能の評価を行った。最終年度は、2~4を重点的に行った。 1に関して、ロボットの改良を繰り返すと同時に、アクチュエータ自体の開発、搭載、コントロール部等を含め提案ロボットを完成させることができた。 2は研究開始当初の計画に予定されていないものであったが、ロボットの設計及び被験者実験から新たに得られた知見をもとに新たに着手したものである。提案ロボット用にデュアルハルバッハ配列を用いたリニアモータを新たに開発し、装着感と患者への負荷低減の点において従来の福祉機器にない高い性能を実現することができた。 3に関して、提案ロボットがもつ6自由度を同時に制御することがコントロールボードとリニアモータ及びその他のアクチュエータを駆動することができるモータドライバボードを設計した。さらに、制御パラメータを容易に変更することができるPCアプリケーションを開発した。一方、制御系に関してはシンプルな力制御を採用し、被験者に与える違和感ができるだけ小さくなるような制御アルゴリズムを開発した。 4に関して、健常者および模擬患者に対して被験者実験を行った。健常者実験から、ロボットが人間本来の動作に与える影響が小さいことがわかった。また、模擬患者に対する実験から、ロボットを用いることで麻痺足へのトレーニング負荷を調整可能であり、作業療法士による徒手治療のエッセンスを再現できることがわかった。
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