本研究では,教育現場や普段の生活において必要となる通常視野の状態把握のサポートとして,サポート者間で児童生徒の通常視野のイメージを共有できるシステムの開発を目的としている.また,児童生徒の視野の状態把握を行う事で発生する周りの気づきとサポートへの変化,その波及効果の検証を目指している. まず,特別支援学校の教員が利用しやすい視野測定器の開発を行った.次に,数値化した視野測定結果から児童生徒の視野のイメージを作成するためのアプリケーション開発を行った.さらに,測定結果と併せて,測定時の顔の向きを記録して提示するシステムの開発を行った.開発した視野測定器を用いて視野測定を行った結果,特別支援学校教員が測定器を有効に利用することを確認した.視野測定結果をもとに児童の様子を観察した記録と合わせることにより,視野の実態把握の手段として提示することができた. 本研究で開発した視野測定器の利用可能性の検討に関しては,タブレット端末固定用アームを用いて被測定者に合わせた位置に LED内蔵フレームを固定することができ,コントローラを用いることで教員 1 名でも視野測定を行うことができたことから,既存の視野計であるフェルスタ型視野計を用いて測定を行うように特別支援学校内で容易に継続的に利用が可能であると考えられる.また,60歳以上のお年寄りを対象とし視野測定を行った結果,見え方の状態が特徴出ていることが確認できた. 現在,全国の特別支援学校や施設に視野測定器を貸出し,利用できるよう機器の強度や扱い易さなどを改善している.視野疑似体験できるアプリに関しては,ホームページ上に提示して誰でも無償でダウンロードして使えるように準備を進めている.
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