研究課題/領域番号 |
25750263
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
李 相侖 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 生活機能賦活研究部, 研究員 (90466194)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 要介護度 / 高齢者 / 生活機能 |
研究概要 |
今後15年間で後期高齢者の人口は日本全国で現在の1.5倍以上になり、要介護状態に陥る高齢者が急増するものと考えられる。年齢階級別要介護認定率を一定と仮定すると、2009年における認定率16.2%に対して、2035年には23.6%(2009年の1.5倍)に達すると推定されている(厚生労働省老健局)。介護保険制度が持続可能性ある制度として確立するためには、今後数十年間の要介護認定者数の伸びをどこまで縮小できるかが重要となろう。このような背景から、平成18年度の介護保険制度改正においては、「予防重視型システムへの転換」がなされた。要支援や要介護1の認定者が急増している一方、要介護状態の軽減や悪化防止の軽減のためには、生活機能の保持が重要な側面を持ち、とくにIADLの低下予防が、その後に生じる機能障害を予防するために重要である。 そこで、我々の研究チームは平成24年度、要支援高齢者に適切なIADL指標を作成した。 この調査の実施によって、要支援高齢者のIADL能力の実態を把握することが可能となったが、開発したIADL評価指標(NCGG-FAT)が予測妥当性、構成概念妥当性を有するかどうかは明らかとされなかった。 本研究の目的は、要支援認定者の日常生活能力の低下と要介護認定の推移との関係を明らかにするために、要支援認定を受けた高齢者3,000名を対象とした要介護認定の追跡調査を実施して、要介護認定の悪化がNCGG-FATにより予測可能か検討する。また、生活機能状況とNCGG-FATとの比較・検討を行うことにより、構成概念妥当性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本調査の調査対象者は、全国に通所介護サービス事業所を有する株式会社ツクイの施設利用者を対象として本研究の実施体制に関する折衝を行った。ツクイは全国に約353カ所の事業所を運営しており、要支援1、2の施設利用者は3,800名程度(2012年現在)存在している。また、平成24年度でも協力を得ており、予測妥当性を検証するために、24年度の対象者における追跡調査が必須と考えた。これらの調査の意義を説明し折衝の結果、平成24年度からの対象者に関して、追跡の介護認定情報に関する提供に承諾を得た。中間報告や分析の結果に関しては、打合せを通じ、共有することとした。 調査内容としては、IADL指標(NCGG-FAT)を用いた。また、要介護認定における情報収集として、平成24年度のIADL指標(NCGG-FAT)による調査をベースラインとし、年度内に2 回、調査対象者の介護認定データ、サービス提供内容における情報(回数、時間等)を調査する。その他としては、性、年齢、既往歴、介護保険サービス利用日数および内容等を用いた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策に関して、計画書とおり、実施する。 当研究の計画は、26年度内に3回、調査対象者の要介護認定における情報を調査・追跡する予定である。そのために、調査実施機関との打合せを重ねる。 本研究を進行することにあたり、最も課題となるのは調査対象者の個人情報である要介護認定データの提供である。また、エンドポイントとする要介護認定データは個人の認定申請状況により時期が変更するため予測ができず、発生するたびの収集は不可能である。そのため、委託先と共同研究体制を整えるとともに、本研究で連結不可能匿名化データのみを管理することを明確にして情報収集を行う。また、通所介護事業所との連携を密にし、情報提供時期における柔軟性をもてるように努力する。 また、データセットの構築のために、データクリーニングと前年度のデータの確認を実施する。 データ構築の後は、分析・報告書作成のための分析を行う。研究の結果は、順次国内外での学術大会で発表・投稿するとともに、本調査の協力機関に結果のフィードバックをする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由として、2年間の計画であるため、本調査を実施するに当たり、実査を充実するためには調査データ構築のための人件費の施行は次年度のほうが効率的と判断したためである。なお、研究成果発表や打合せの頻度においても同様に次年度においても充実させることが、本調査で必要と判断したためである。 本調査を実施するに当たり、調査データ構築のための人件費の施行を次年度に実施する。なお、研究成果発表や調査実施団体との打合せの頻度においても同様に次年度においても充実させて効率よく使用する予定である。
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