研究課題/領域番号 |
25750264
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
井上 恒 香川大学, 工学部, 助教 (90624205)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肩甲骨 / 3次元運動 / バイオメカニクス |
研究概要 |
右肩に既往歴のない健常な成人男性を対象として、上肢挙上における肩甲骨3次元運動の計測実験を行った。電磁ゴニオメータシステムのセンサを胸郭、右肩峰、右上腕に貼付し、肩甲骨面での上肢挙上時の肩甲骨の位置と向きを6自由度で計測した。上肢挙上動作には動作速度と外力を負荷条件として設定した。動作速度は上腕挙上(肩関節外転)の時間をメトロノームでコントロールした。挙上動作は肘を完全伸展の状態で行った。外力は、ウェイトディスクを被験者の手部に固定した。動作速度と外力はそれぞれ3種類ずつ設定し、その組み合わせで9種類の試技を行った。 データ解析を行い、現在のところ、低速および外力なしの条件における上肢挙上時の肩甲骨重心3次元運動の特性を明らかにした。その際、肩甲骨の重心位置は骨格モデルにおける体積中心と仮定した。従来の運動の評価方法として、胸郭の座標系に対する肩甲骨重心位置の変化を3次元で記述した。その結果、上肢挙上時の肩甲骨重心は、前後方向への移動は少なく、主に前額面上で2次元的に移動していた。また、肩甲骨の回転軸の向き及び位置を考慮した新たな評価として、ヘリカルアクシス法を用いて3次元の並進運動と回転運動を同時に記述した。さらに、その運動の曲率および捩率を算出した。その結果、任意の瞬間における肩甲骨重心は、螺旋を描くように移動していることが示された。これは、肩甲骨の3次元運動に関与する筋骨格系の作用によるものと考えられる。しかし、回転軸の向きや位置は時々刻々と変化するため、それに伴う重心点の並進運動のみを観察すると2次元的な運動になると推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた、上肢挙上の負荷条件である動作速度および外力が肩甲骨の3次元運動に与える影響の解析について十分に達成されていない。
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今後の研究の推進方策 |
実験の継続と共に、上肢挙上時の負荷条件の力学的影響を解析する。また、2年目に予定していた通り、詳細な筋骨格モデルを用いて、肩甲骨の3次元運動に対する筋骨格系の機能を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
円滑な予備実験等のために、一時的に計測機器を借用できたため。 実験継続のため、計測機器を購入する。また、解析用の筋骨格モデル、学会等での研究発表、論文投稿に関連する費用として計上する。
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