研究課題/領域番号 |
25750265
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
谷部 好子 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30582829)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 時間知覚 / 身体運動 / 運動障害 / Temporal binding / EEG / Parkinson Disease / Psychophysica |
研究実績の概要 |
1.前年度(平成26年度)に発表した「感覚刺激の生じたタイミングは、その感覚刺激に反応して身体を動かす条件下においてはそうでない条件下においてより遅いものとして知覚される」時間的結合現象が、旧来発見されていた「感覚刺激の生じたタイミングは、被験者自身がその感覚刺激を誘発した条件下においてはそうでない条件下においてより早いものとして知覚される」という時間的結合現象とどのように関わっているのかを究明する心理物理実験を行った。上記の二つの現象を組み合わせることで2つの実験が行われた。実験1では「手の運動→音刺激→手の運動」というシーケンスで参加者は音刺激の発生タイミングを回答した。実験2では「音刺激→手の運動→音刺激」というシーケンスで参加者は手の運動前あるいは後に提示された音刺激の発生タイミングを回答した。この結果、身体運動と音刺激のペアそれぞれの中で時間的結合が生じることが明らかになった。成果は専門科学雑誌に投稿中である。国際会議 ICP2016 での発表を予定している(採択済み)。 2.前年度(平成26年度)に発表した現象の脳内機序を明らかにするため、脳波測定を実施した。 3.1.で記述した現象が社会的な相互作用において生じるのかを検証する研究を開始した。 4.発見した現象の脳内機序を明らかにするため、運動障害、具体的にはパーキンソン病患者にて測定を実施した。成果は日本神経科学会大会での発表を予定している(採択済み)。この研究は実施場所である西オンタリオ大(カナダ)で倫理認可されているが、疾病研究に科研費から支出するには日本国内の大学での倫理申請が必要である。このため現在、高知工科大学倫理委員会への申請に向け準備中であり、研究計画書に記載した研究ではあるものの当該年度にはこの研究には支出していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パーキンソン病患者での実験は順調に進んでいる。脳波実験についてはあまり順調ではない。当初、運動準備電位との関係を検証する予定であったが、時間周波数解析において興味深い結果が出つつある。時間周波数解析用のプロシージャで再実験をする必要がある。脳波実験を優先するため、また、倫理申請の必要が中途で判明したため、 MRI 実験の優先順位は低くなった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の心理物理実験の成果(投稿中)を公刊する。 脳波実験の成果および新たに開始した社会的相互作用実験について上半期に投稿する。 パーキンソン病患者での実験を継続し、倫理認可を得次第、 MRI 実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
MRI 実験の延期にともなう。
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次年度使用額の使用計画 |
下記の支出を予定している。 1.論文公刊料(1あるいは2件)2.学会3件(ICP2016、日本神経科学会、他1件)3.MRI 使用料
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