研究課題/領域番号 |
25750269
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐々木 究 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (30577078)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 原理論 / 日本 |
研究概要 |
我が国の体育学領域には、「体育とはなにか」という根深い問いがある。本研究の目的は、この問いを巡る一連の議論を分析・整理することによって、暗黙的にであれ、それらに通底する思想的な基盤を浮き彫りにすることにある。「体育」を「身体的な教育」とする一般的な理解は、用語の観点からすれば自明のものではなく、その出自も明らかではない。本研究は、「体育」の用語的な意義の転換点に向けて遡及的な追求を行うべく、その最初の作業として、現代の体育論を題材に行論の背景にある身体観および教育観の抽出・分析を試みるものである。「身体的な教育」としての「体育」の成立期を画定し、その成立を可能とした事情や論理を明らかにすることは、今後の体育のあり方を検討する上で不可欠の課題であり、本研究はその一部をなす。 具体的な手順は、1)各著作における議論を論理内在的な観点から論旨の検証を行う。つぎに、2)それぞれの議論が依って立つ理論的な前提、あるいは現実的な条件に目配りしつつ、「身体」および「教育」に関する言説を抽出・分析していく。また、その際、3)著作相互の影響関係や周辺的な著作・論文などとの論理的関係、あるいは近接する他の学的領域との影響関係などを考慮しながら多角的な観点から検討を進める。 初年度となる25年度には、とくに注目すべき著作を対象に据えて研究を進めた。26年3月現在、原著論文一本を全国学会誌に投稿中(査読結果待ち)である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、「身体的な教育」としての「体育」の成立事情を明らかにするべく、その前提的な作業として、現代日本の体育論を対象に、行論の背景にある教育観および身体観を文献学的な手続きをとおして抽出・検討することである。具体的には、「体育」を「身体的な教育」と認める現代の議論を主な対象として、そうした主張を支える背景の論理を抽出・整理し、「体育」の意義が転換する時期を見定めていくことである。 最終的な目的からすると、「体育」の意義の転換期を画定するまでにはさらに多くの時間と労力が必要であると感じられるが、反面、具体的な目的に関して言えば、これまでに得られた成果は比較的手堅いものと思われ、投稿中(査読結果待ち)であるが、原著論文としてまとめられたものもあることから、達成度としては概ね順調であると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
上述のように、最終的な目的達成には未だ遠い道のりがあるだろう。しかし具体的な目的については、作業は着実に進展している。また、当初想定していなかった著作について新たに重要性が見出され、現在、分析を進めているところである。方法論的な観点での問題は生じていない。 また、26年度に研究代表者がコーディネイターを担当している学会大会でのシンポジウムでは、テーマに重なる部分が想定され、本研究の進展に対して何らかの好影響が期待される。
|
次年度の研究費の使用計画 |
資料購入に際して、端数として残額が出た。 残額は、次年度の予算と合算して資料購入に充てる予定である。
|