本研究は、昭和初期に実施された野外教育の特質を検討した。その結果、大正期に健康増進を目的とする欧米型の野外教育を実践した地域では、その実践的枠組みが継承され、昭和初期にも同様の活動が中心となったことが明らかになった。一方で、大正期には、欧米の野外教育と、地域における類似の教育活動を結合させて受容と発展がなされた事例も一定程度あり、その場合、地域特有の目的が付与されたり、地域色の強い活動が実施されることもあった。このように、大正期において、地域特有の活動と欧米型の野外教育を結び付けて受容と発展がなされたことは、昭和初期において地域性を活かした野外教育を実践する基盤となったといえる。
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