研究課題/領域番号 |
25750277
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
飯田 智行 就実大学, 教育学部, 講師 (70509645)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 離島 / 体育 |
研究実績の概要 |
前年度までに、離島の児童生徒の体力レベルは全国・内地と比較して低学年では高い傾向にあるが、学年進行に伴い全国・内地と変わらなくなることを明らかにした。その一つの要因として、複式学級での体育授業が高学年の運動量を減少させ、体力レベルを停滞させていることが考えられた。そこで、離島における体育授業の現状を検討した。その結果、離島の体育授業は、対象校全ての学校が複式学級であることが明らかになった。また、体育授業で困っていることは、主に授業内容と場所で困っている割合が多かった。さらに、離島の児童生徒は都市部の児童生徒と比較して体育に関して競争意識が低いことが明らかになった。また、教員対象に行った聞き取り調査において「人数が少なく、競技が固定化されてしまう」「発育発達段階の異なる学年が合同で授業を行うことは困難である」「運動ができる施設が限られている」などという意見が得られた。以上のことから、離島の学校は、複式学級で授業を行っており、体格差・体力差の考慮をしなければならないこと、競争意識を持った児童生徒が少ないこと、運動を行うための施設が限られていることが明らかになった。離島の体育は、発達段階に合わせた授業を行うことが困難である可能性が考えられた。 これらの結果から、異学年で同じ種目を行った際の体力的ハンディキャップを考慮した条件を考案することにより、発育発達段階に合わせた運動量の確保が可能な授業実施が可能になるものと考えた。そこで、同種目において異なる条件を設定し運動強度や効果の違いの検討を行った。その結果、同じ種目でも人数・コートの広さ・ルール制限・姿勢・道具の違いが、運動強度や意欲に影響を及ぼすことが明らかになった。このことから、複式学級で実施している体育においても、学年にあわせた条件設定をすることにより、発達段階にあった運動量を確保することができることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H26年度の実験・調査は3つ予定していた。「離島の保険t内行くの支援体制に関する調査」「保健体育教材の基礎資料獲得」の2つは順調に終了した。但し「ICTツールを活用した保健体育が教育効果に及ぼす影響」が滞っている状況である。平成26年度から所属先が変更し、特に、ネット環境が著しく変わったため、ICTツールを利用した教材作成に至らなかった。そのため、教材作成に必要となる基礎資料を獲得する実験を多く実施した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得た教材作成の基礎資料を基に、ICTを利用した教材作成に取り組む。さらに、その教材の効果を調査を実施する。 そのためにも、所属先の施設とネット環境の整備について相談を行い、改善方策を探る。万が一、ネット環境整備の改善が難しいようであれば、教材作成の基礎資料の獲得のための実験をさらに増やしながら、①ネット利用しない教材を作成する。②研究協力者の所属先でネット利用をする教材を作成する。の2つの案を研究協力者と相談しながら、適宜推進方策を決定していく。 尚、得られたデータを基に、学会発表・論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属先変更に伴い、研究環境が大きく変わった。特にネット環境が著しく変化した。そのため、ICTツールを持ちいた教材作成が当初の予定通り進まなかった。このことが影響し、ICTツールに関する備品費の使用が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在までに、ICTツールを使用した教材開発のための基礎資料を獲得してきた。今年度は、得られたデータを基にネット環境に依存しない教材開発に取り組む為、計画通り使用予定である。また、繰り越した金額については、年度の早い時期に使用予定である。
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