研究課題/領域番号 |
25750278
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石岡 丈昇 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10515472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ボクシング / スクオッター / フィリピン / 農村 |
研究概要 |
本研究は、フィリピン農村地域において、若者のスポーツ参与(ボクシングの事例)によって引き起こされる社会移動のありようを実証的に明らかにするものである。一年目である平成25年度は、各種統計データや先行研究の収集を前半期に実施した。そこでの予備資料分析をもとに、平成26年1月に現地フィールドワークをおこなった。さらに現地のスポーツ機関や大学を訪問し、現地でしか手に入らない各種文書を収集し、データ入力化を進めた。 それらの作業を通じて、社会移動が空間移動を伴って生じることの基礎データを作成することができた、具体的には、農村でボクシングを始めた若者は、マニラ首都圏やセブといった大都市に移動し、キャリアを積むことが一般的であることが確認された。そこで手にする金銭や社会的紐帯は、その他の出稼ぎとは質的に異なったボクシング固有の形態を備えており、次年度以降のフィールド調査課題も、より明確化することができた。 また、本研究は、申請書にも記したように、申請者のこれまでの研究の延長上に位置づくものである。本年度の研究遂行を通じて、これまでの研究成果もより明確に把握できるようになり、最新データも含めた国際・国内学会での発表他も充実しておこなうことができた。具体的には、2013年6月にカナダのバンクーバーでおこなわれた世界スポーツ社会学会でUnderdog Boxers as Social Products: How Nameless Filipino Pugilists Constitute the Bottom of the Asian Boxing Marketと題して、発表をおこなった。また2013年10月には日本社会学会で「貧困の刻印――ボクシングジムから見るマニラの都市底辺」と題して招待講演(日本社会学会奨励賞受賞者としての講演)をおこなった。加えて、複数の論文を上梓した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールド調査を順調に遂行できており、調査課題もいっそう明確になっているため。加えて、国際的にも国内的にも成果を順調に公表できているため。
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今後の研究の推進方策 |
フィリピンのボクサーの社会移動調査を進めるうえで、フィリピン国内と同時に、他国のボクシング機関(たとえばPABAの本部のある韓国・ソウル)を訪問することで、より充実したデータが得られることがわかってきた。フィリピンの現地調査を継続すると同時に、こうした国際スポーツ機関の訪問も組み合わせることで、より複眼的な実態解読が進められると考えている。
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