研究課題/領域番号 |
25750279
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
中道 莉央 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (30550694)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 障がいのある女性アスリート / 障がい者スポーツ / ダブル・ディスアビリティ / 車いすバスケットボール |
研究概要 |
本研究課題の目的である障がいのある女性スポーツの発展のためには,障がいのある女性アスリートが抱える「二重の障壁(女性であり,障がい者であること」の実態について明らかにする必要があると考え,2013国際親善女子車椅子バスケットボール大阪大会に参加したオーストラリア,カナダ,日本の33名の女性選手に調査を行った。その結果,全15問全ての項目において,日本が諸外国の結果を上回り,障がいのある女性アスリートとしての苦労や困難を抱えていることがわかった(この成果をTHE ASIAN JOURNAL OF DISABLE SOCIOLOGY, 13:91-99.にまとめた)。 また,これらの解決には障がい理解の視点をなくして考えることはできないと考え,同大会を観戦した児童・生徒572名を対象に観戦して思ったことや感じたことなどについての調査を試みた。その結果,スポーツを通じた障がい理解学習,すなわち,「二重の障壁」の解決に向けた教育からのアプローチの可能性を探ることができた(この成果を桜門体育学研究, 48(2):13-29.にまとめた)。これを専門領域における国際学会(ISAPA)で報告を行ったところ,カナダ,スペイン,ブラジル,プエルトリコ,コンゴなどの参加研究者と発表をめぐって,意見交換をすることができた。児童・生徒を対象とする障がい理解教育のあり方や障がいのある女性アスリートの実態などについて,各国間の相違も含め,本研究課題の今後の貴重な知見や資料が得られた。 当該年度で取り組んだ国内外のトップアスリートの「二重の障壁」の実態を明らかにしたものや,その課題解決に向けたアプローチを学校教育の視座から行ったものは,管見の限り見当たらず,アダプテッド・スポーツ領域におけるup-to-dateな結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)障がいのある女性車いすバスケットボールアスリートの実態(2013国際女子親善車椅子バスケットボール大阪大会の調査結果)を国内外の専門学会で口頭発表または論文として報告することができた。2)障がいのある女性スポーツの発展には障がい理解の視点が不可欠であると考え,上述1)の大会を観戦する児童・生徒を対象に,感じたこと,思ったことについての追加調査を行うことができた。3)2014年夏に発表予定していたASAPEはアジアを中心に行われる学会(2008,2010,2012年発表参加)であることから,本研究課題で対象とする国々が集う2013年7月のISAPEにおいて研究成果を報告することが望ましいと考え,ASAPEを見送り,ISAPEで発表を行った。4)上記3)にともない2013年夏に予定していたアメリカ協会への調査は,2014年夏に行うことにした。またスプリングフィールド大学(2010年訪問済)において,研究協力者からの助言と資料収集も行う。5)2014年に調査を予定していた世界選手権(女子)の開催時期(申請当時は未定)が,6月17-29日(於・カナダ)であることがわかった。しかしながら,同時期は職務として行う教育活動との兼ね合いで調査に行くことが困難な状況は必至であり,当初の計画を変更せざるを得ない状況が生じた。6)2014年2月に予定していたオーストラリア協会への調査は,研究協力者2名が2013-2014年に同協会の職務を離れることとなり,事実上調査を断念せざるを得ない状況となった。7)国際親善女子車椅子バスケットボール大阪大会が2014年度大会から国内大会へと変更になり,2014年2月に予定していた調査を断念せざるを得ない状況となった。 5~7)のような予期しない状況に難渋が生じ,計画を変更せざるを得ないものもあるが,総合的にみて概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
・2013年度までに得られた成果の総合的考察及び2014年度の国内外の調査,資料収集の準備のため,国内研究協力者との打ち合わせを進める。 ・2014年夏のアメリカ車いすバスケットボール協会への調査と,スプリングフィールド大学での研究打ち合わせ(研究助言)及び資料収集の準備を進めるため,国外研究協力者との調整を行う。同大学国際センター長(2010,2013年面談済)が2014年7月に大阪に来日する予定があり,具体的な調整は現地に出向き直接行う。 ・【現在までの達成度】の5),6)に記した調査は,本研究課題に与えられた期間内(2013-2014年度)での実施が厳しい状況ではあるが,2015年度以降に行える可能性を探り,今後の研究に道すじを立てたい。
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