研究課題/領域番号 |
25750283
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
洪 性賛 筑波大学, スポーツR&Dコア, 研究員 (10638547)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | サッカー / ボール / 空力特性 / 飛翔軌道 / パネル / ブラズーカ / キック動作 |
研究概要 |
本研究課題では,サッカーボールと蹴り足のインパクト場面(ボール出発時)を中心に,様々なシュート(無回転シュート,カーブシュート,ストレートシュート)における蹴り足の運動およびインパクト時のボール変形と出発渦の動態を分析することでサッカーボールの飛翔軌道を決定する流体力学的要因を明らかにする.これらのキックに関する技術的メカニズムとともに,その変化球を生み出す流体力学的メカニズムの解明がサッカーのプレーヤーパフォーマンス向上を目指す. 先ず,サッカーの様々なシュート(無回転シュート,カーブシュート,ストレートシュート)における蹴り足の運動について12名のサッカープレーヤーを対象として実験を行った.その結果,無回転チュートは,ストレートシュートに近いスイング動作で,インパクト時の足首関節はカーブシュートに近い姿勢でボールをインパクトしていることが分かった.また,インパクトする時には,他のシュートより,股関節の外旋トルクが大きく発揮されており,足部内側で踵を押し出すようにインパクトする傾向がみられた.さらに,ボールインパクト時の足首関節運動では,他のシュートより,並進運動を主体とした運動しており,その時の迎え角は,他のシュートと比較して小さいことから,回転数の少ないボールを生み出す原因の一つであることを示した. また,現代サッカーボールを対象として風洞実験を行い,様々なサッカーボールの空力特性を得た.さらに,サッカーボールのパネルの向きと抗力との関係を検討し,パネル向きが実際のボール飛翔軌道に及ぼす影響を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
サッカーにおける様々なシュート動作に関しては,4種類のシュート動作について検討し,無回転シュート動作の特徴を明らかにした.また,風洞実験により現代サッカーボールの空力特性を検討した.さらに,キックロボットを用いて様々なサッカーボールの飛翔特性を検討した結果,サッカーボールの飛翔軌道を決定する1つの要因としてボールのパネル特性(数及び向きなど)が大きな影響を与えることが分かった.
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今後の研究の推進方策 |
サッカーの様々なシュート(無回転シュート,カーブシュート,ストレートシュート)における蹴り足の運動について明らかにした.また,現代サッカーボールを対象として風洞実験を行い,空力特性を得た.さらに,パネル向きがサッカーボールの抗力に与える影響について明らかにした.サッカーボール表面を構成しているパネルの形がサッカーボールの飛翔軌道を決定する重要な要因の1つであることを分かった.サッカーボールの飛翔軌道に影響を与えるパネル効果をより詳細に検討するため,ボール表面の空気の流れを可視化するPIV(流速計測システム)で検討する必要がある.そこで,今後の研究はサッカーボールの飛翔軌道を決定する要因としてサッカーボール表面にあるパネルの効果を詳細に検討し,その流体力学的解析を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年の研究成果によるとサッカーボールの飛翔軌道を決定する重要な要因としてボールのパネルの向きや数などの形が大きく影響することが明らかになった.パネルの周りの空気流れを検討するためには,PIVという測定が必要である.現在,サッカーボールに関連するPIV測定の最適な実験装置が山形大学にあるため,次年度はPIV実験で山形への出張が必要となる.また,現代サッカーボールの空力特性をより詳細に検討するためには,数多くのサッカーボールを対象とした風洞実験を行う必要である. サッカーボールの飛翔軌道を決定する要因を検討するために,歴代サッカーボールや現在使用中の様々なサッカーボールを購入して各々のサッカーボールにおいてそのパネル向きや数及び異なる形がサッカーボールの空力特性に及ぼす影響について筑波大の風洞実験室で検討する予定である.また,サッカーボールのパネル表面の空気流れをPIV計測で検討する必要があるため山形への出張旅費に充てる予定である.
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