研究課題/領域番号 |
25750288
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安田 智洋 東京大学, 医学部附属病院, 研究員 (20549604)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 短縮性筋活動 / 伸張性筋活動 / 血流制限 / 筋肥大 / 筋力増加 / 弾性バンド |
研究実績の概要 |
(意義)近年注目されている加圧トレーニングは、低強度負荷でも十分な筋肥大・筋力増加を示すことから、新たな筋力トレーニング法として確立してきた。しかし、加圧トレーニングによる筋肥大メカニズムについては、まだ不明な点が多い。本研究では、筋収縮様式(短縮性と伸張性収縮)の観点から加圧トレーニングが筋肥大に及ぼすメカニズムに焦点をあて、若年者、高齢者や加療後のリハビリテーション患者を対象とした筋力トレーニング方法の開発を目指す。
【目的】弾性バンドの負荷抵抗(主に短縮性収縮局面で大きな負荷抵抗)を利用した血流制限下の低強度筋力トレーニング(加圧トレーニング)が高齢者の筋サイズ、筋力と血管機能に及ぼす影響を検討した。 【方法】健康な高齢者17名(平均年齢70歳)を加圧群9名と対照群8名に分け、両群ともセラバンドを用いたアームカールとプレスダウン(各々30%負荷)を週2回、12週間行った。血流制限には空圧式ベルトを用い、上腕基部に120~270mmHgの圧を加えた。トレーニング前後(PreとPost)に筋横断面積(CSA、MRI法)、等尺性最大筋力(MVC)、血流依存性血管拡張検査(FMD)、脈派伝播速度(CAVI)を測定し、PreからPostでの変化を観察した。 【結果】加圧群の上腕屈筋・伸筋群CSAはPostで増加(p<0.05)したが、対照群は変化がなかった。また、加圧群の肘関節屈曲・伸展MVCはPostで増加(p<0.05)したが、対照群は変化がなかった。一方、FMDとCAVIは両群とも変化がなかった。 【結論】弾性バンドを用いた加圧トレーニングは動脈スティフネス等の生体への安全性が確保されたままで顕著な筋肥大と筋力増加が生じることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は所属講座の終了により、実験の面では研究活動に支障がでてしまった。 一方、国際学術雑誌に論文が受理され、論文掲載の面では順調に進んでいると感じる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は高齢者を対象にした弾性バンドトレーニング後(脱トレーニング;筋力トレーニングの中止)の影響を検証する予定である。 また、トレーニング運動中の筋活動を分析し、弾性バンドトレーニングにおける短縮性および伸張性収縮の貢献度を検証したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は所属講座の終了により、実験の面では研究活動に支障がでてしまったため。 また、筋力トレーニング後の影響(脱トレーニング:筋力トレーニングの中止)を検討し、血流制限下の弾性バンドトレーニングが有用かを検証したいと考えた。そのため、筋力トレーニング後も一定期間の時間が必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
脱トレーニング実験に必要な装置の購入(約30万円)、MRI分析やダータ入力に関わる謝金(約20万円)を予定している。
筋電図を用いた実験を検討しており、新たな研究室での実験に必要な物品の購入(合計45万円程度)を予定している。
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