研究課題/領域番号 |
25750290
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
田中 美吏 福井大学, 教育地域科学部, 講師 (70548445)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心理的プレッシャー / 快-不快感情 / 中枢神経 / 脊髄反射 / TMS / EMG / 反応時間 |
研究概要 |
3ヶ年の研究計画の初年度であった平成25年度は、本研究の推進に対して必要な実験装置として経頭蓋磁気刺激(TMS)と重心動揺測定器を納入し、実験環境の整備を図った。さらに、これらの装置を用いた測定技術を習得した後に、心理的プレッシャーや快-不快感情といった心的動揺が皮質脊髄路における運動神経活動の興奮性に及ぼす影響を調べる2つの実験に取り組んだ。 実験1では、利き足での反応課題を用いて、報酬と罰によるプレッシャーが高次中枢(大脳皮質)や低次中枢(脊髄)における運動神経活動(経頭蓋磁気刺激TMSによる運動誘発電位MEP及び経皮的電気刺激によるH波の記録)、筋活動、反応時間に及ぼす影響を調べることを目的とした。10名を対象とした実験の結果、プレッシャーによる筋活動や共収縮の増加は、大脳皮質を中心とした運動神経活動の興奮性増大に依存することが明らかになった。 実験2では、実験1と同様な運動課題と測定変数を用いて、快-不快感情を誘発するために写真刺激(IAPS)を用いて、快-不快感情が高次中枢や低次中枢における運動神経活動、筋活動、反応時間に及ぼす影響を調べることを目的とした。10名を対象とした実験の結果、感情操作の有効性は認められたが、皮質および脊髄における運動神経活動および筋活動に変化は生じなかった。 実験1と実験2の結果を総合考察すると、心理的プレッシャー下における中枢の運動神経活動や末梢の筋活動の増大は、原始情動とも言える快-不快感情を司る辺縁系からの神経投射の影響は小さく、注意、思考、運動計画などの機能を制御する大脳皮質からの神経投射に依存することが提言できる。 また平成25年度中に、関連研究として国際誌に1本の原著論文、国内誌に1本の総説論文が採択された。国際学会で1回、国内学会及び研究会で2回の関連研究の学会発表も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、新たな実験装置の納入、実験環境の整備、新たな装置を用いた測定技術の習得を速やかに行い、予定していた2つの実験も順調に実施し、終えることができた。2つの実験から得られた結果もかなり満足のいくものであった。国際誌に1本の査読付原著論文、国内誌に1本の査読付総説論文が採択され、国際学会で1回、国内学会及び研究会で2回の学会発表も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、平成26年度には2つの実験を実施する予定でいる。うち1つは応募時の研究計画書に準じた実験を行うが、もう1つは本研究の関連研究の国際的な潮流を考慮し、スポーツ時の心理的プレッシャーの克服に関する実験や調査を行う研究に変更することを考えている。平成25年度の研究成果の論文投稿や学会発表も行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品を値引きにより安く購入できた。分析作業が研究代表者で対応できたため、分析作業謝金が不要であった。 平成26年度の実験を行うにあたって追加で必要となる物品購入代に充てる。
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