本研究では、第二次世界大戦以前の日本における女子体育に着目して、女子体育関連言説にみられる「女子体育関連イメージ」の見直しを図ることを目的としていた。また、日本における女子体育の展開について、他国と比較した場合どのような共通点、相違点が見出せるのかを明らかにし、日本女子体育史を世界的な女子体育史の一部として位置づけることを目指してきた。 このような目的で研究を行うことにより、より広い視野で日本の女子体育を捉えることが可能となり、「女子体育は旧来の女性観に反したことにより普及が困難であった」というような単純な結論ではなく、世界的な体育思想とその日本への影響を明らかにすることが可能であると考えた。そのため、特に本研究の成果は国外への公開を重視し、平成25年度、26年度、27年度と国際学会(ISHPES)での発表を行った。その結果、日本の女子体育について多くの在外研究者から興味をもたれ、活発な議論を行うことができた。特に日本の体育が多くの影響を受けたドイツの状況と比較した場合、ダンスが非常に優美なものとして発展していったこと等の共通点がみられた。これらの研究成果は、投稿論文としてまとめ国際誌に投稿したが、未だ掲載にはいたっていない。 最終年度には、イギリスに留学した永井道明や二階堂トクヨの女子体育に対する取り組みを中心として考察を行ったが、原著論文としてまとめるには至らず、自身の研究成果を国外に発信することを優先させるため体育学会の機関紙International Journal of Sport and Health Science(IJSHS)に二次出版として戦前の日本の女子体育振興方策について論文を投稿し、現在査読中である。
|