本研究では野球投球時の上肢・体幹部の動作がボールの回転に与える影響を明らかにした.その結果,(1)直球との差異という観点からは,変化球は3つのグループに分類されること,(2)3つのグループのうち,直球と同程度の回転スピードのまま回転軸方向を変更する球種群(スライダー,カーブ等)では,リリース直前の肘関節回外角度を増大させることで直球と乖離するような回転軸方向に調節していること,(3)この回外角度の変化およびそれに伴うボール回転軸方向の変化は,同一球種投球時の日間変動としても起こること,が示唆された.これらの結果は,投手のトレーニング,コンディショニングに活用できる可能性がある.
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