研究実績の概要 |
本研究の目的は,スポーツイベントの居心地を規定する要因を明らかにすることである.本年度は,昨年度の構築したプロゴルフトーナメント観戦行動の理論的枠組みにデータをあてはめることで,居心地に影響を及ぼす要因の因果を明らかにした. データの収集は,2014年のプロゴルフトーナメントのレギュラーツアーにおいて,調査協力の意思を持つ観戦者に対して直接配布,直接回収の質問紙調査を実施した (N=602).調査項目はHansen and Gauthier (1993), Wakefield and Slone (1995), Watanabe, Matsumoto, and Nogawa (2013) を参考に開発された尺度を用いた.分析は,確認的因子分析による項目の妥当性及び信頼性を検討したのちに,共分散構造分析を用いてモデルの妥当性及び要因の因果関係を明らかにした.分析の結果,尺度の妥当性及び信頼性は担保され,モデルの妥当性および要因の因果関係を確認することができた. 要点として,「プロゴルフトーナメント観戦ならではの特徴」は観戦者の居心地を強く規定することが明らかとなり,居心地が観戦者の再来場意図に強く影響を及ぼすことが明らかとなった.また,「選手」や「コース」,「飲食やイベントなどのサービス」は会場内の居心地を媒介して再来場意図に影響を及ぼす主な要因であることが明らかとなった.さらに,対象となるチームや種目などの「心理的な結びつき」が観戦者の居心地に影響を及ぼす効果よりも,居心地が「心理的な結びつき」を醸成する可能性が示唆された.
|