本研究の目的は、カヌースプリント選手のエネルギー供給系の体力及びその特性を簡便に評価するテストとして、カヌーエルゴメータを利用したCritical powerテストを構築することであった。課題1では、Critical power及びAnaerobic work capacityを求めるためのオールアウトテストの再現性を検討した。また、課題2では、Critical powerから最大酸素摂取及び乳酸性閾値を推定するための回帰式及びAnaerobic work capacityから最大酸素借を推定するための回帰式を作成した。課題1の結果、Critical power及びAnaerobic Work Capacityを求めるためのオールアウトテストの変動係数は1.2~1.6%であり、再現性の高いテストであることが示された。また、課題2では、最大酸素摂取量を従属変数、Critical powerを独立変数とし、回帰分析を実施したところ、有意な回帰式が得られた(R2=0.89)。同様に、乳酸性閾値を従属変数、Critical powerを独立変数とし、回帰分析を実施したところ、有意な回帰式が得られた(R2=0.94)。また、最大酸素借を従属変数、Anaerobic work capacityを独立変数とし、回帰分析を実施したところ、有意な回帰式が得られた(R2=0.83)。これらの結果を用いることによって、Critical powerテストによるエネルギー供給系の体力を簡便な評価が可能になる。
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