研究課題/領域番号 |
25750331
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星野 太佑 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (70612117)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 骨格筋 / 乳酸 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
昨年度まで、摘出したラット骨格筋に対する乳酸刺激をおこなっていたが、長時間のインキュベーションにより、培地中の乳酸濃度が高くなることがわかった。そこで本年度は、より環境をコントロールできる培養細胞系での実験をおこなうこととした。よって、培養細胞の実験系の確立と実験条件の設定に時間を要した。培養細胞を用いた実験により、本研究の目的である乳酸のミトコンドリア新生のメカニズムの解明を達成できると考えられる。 研究には、C2C12マウス骨格筋培養細胞を用いた。乳酸濃度の増加のために電気刺激による筋収縮を用いた。先行研究と予備実験から、刺激頻度2Hzを用いた。16時間前に培地を交換したC2C12細胞に対して、50V、3ms、2Hzの電気刺激による筋収縮を1時間おこなった。収縮後6時間後までの乳酸濃度を測定したところ、収縮後6時間後までに持続的に細胞内の乳酸濃度が3倍程度増加したことを確認した。次に、ミトコンドリアの新生の上流因子と考えられているPGC-1alphaのmRNA増加をreal time PCR法を用いて測定した。その結果、PGC-1alphaのmRNAが増加したことを確認した。よって、細胞内の乳酸濃度の増加が、ミトコンドリア新生と関連している可能性が考えられた。今後は、この他にもオートファジーやミトコンドリアダイナミクスを制御するタンパク質や遺伝子の発現量が、乳酸濃度の変化によりどのような影響を受けるのか検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度まで、摘出したラット骨格筋に対する乳酸刺激をおこなっていたが、長時間のインキュベーションにより、培地中の乳酸濃度が高く増加することがわかった。よって、環境をよりコントロールできる培養細胞系での実験をおこなうこととした。そのため、細胞を用いた実験系の確立と実験条件の設定のため、時間を要したため研究の進捗がやや遅れている。現在は、培養細胞を用いた実験系は構築され、研究を問題なく遂行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は乳酸がミトコンドリア新生を活性化させるメカニズムの解明である。ミトコンドリア新生は転写制御だけではなく、翻訳後の修飾によっても、ミトコンドリアタンパク質は制御されていると考えられる。よって、 オートファジーなどを含む翻訳後修飾やミトコンドリアダイナミクスに関わるタンパク質の発現を検討する必要がある。今後は、乳酸刺激が、そのようなタンパク質や遺伝子の発現量に影響をあたえるのか検討することで、ミトコンドリア新生の制御のメカニズムを解明したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度までおこなっていた摘出筋を用いた実験系では問題が生じたため、培養細胞を用いた実験をおこなう必要性が出てきたためである。培養細胞の実験系の確立と実験条件の設定のための予備実験の実施のため時間を要し、次年度にさらなる実験を行なう必要があり、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
ウエスタンブロッティング、real time PCR、細胞培養実験を実施するために必要な実験器具、消耗品を購入する予定である。
|