本研究では、乳酸が骨格筋ミトコンドリア増殖を引き起こすのか、摘出筋を用いた実験系とC2C12筋管細胞の電気刺激の系で検証した。その結果、摘出筋に対する10mM乳酸刺激は、ミトコンドリアの新生を抑制した。しかし、この時乳酸添加24時間後では、培地中の乳酸濃度が25mMを超えており、非生理学的な高い乳酸濃度であった。電気刺激による乳酸濃度の増加は、C2C12筋管細胞のPGC-1alphaのmRNA量を増加させた。以上の結果から、筋収縮に伴うような乳酸濃度の増加は、転写制御を介してミトコンドリアの新生を引き起こす可能性を示唆した。今後、乳酸濃度の濃度応答性の違いをさらに検証する必要がある。
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