研究課題
運動中,運動後の骨格筋エネルギー代謝を評価する目的で,運動中の骨格筋エネルギー源となる酢酸の動態について検討した。酢酸は,肝臓にてアセチルCoAより産生,放出され,骨格筋に取り込まれた後,再度,アセチルCoAへ代謝され,エネルギー産生に用いられる。骨格筋内の酢酸は,短い代謝ステップでアセチルCoAへ転換される。そのため,エネルギー産生が必要なくなった運動後は,アセチルCoAの過剰蓄積を招きやすくなる。したがって,不用となった酢酸を,運動後は迅速に体外排泄する必要がある。そこで,骨格筋内で酢酸を抱合して尿からの体外排泄を促すN-acetyltaurine (NAT)について,持久性運動中,後の血中,尿中濃度推移を検討した。その結果,マラソン等の持久性走運動直後,血清NAT濃度に有意な上昇が見られ,1日後には正常値に戻った。尿中NAT濃度は,運動後から徐々に上昇し,運動10時間後をピークに有意な上昇が継続した。本結果は,運動中に骨格筋にエネルギー源として供給され,運動後に不用となった酢酸を,タウリンがNATとして,骨格筋外,体外への排泄を促している事が推測された。尿中のNAT濃度を測定する事で,非侵襲的に持久性運動で骨格筋での酢酸を用いたエネルギー供給バランスを評価出来る可能性が示唆された。
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SpringerPlus
巻: 4 ページ: 494
doi: 10.1186/s40064-015-1304-0