研究課題
平成26年度は、まず前年度に実施した食事摂取が呼吸化学受容器反射に及ぼす影響について、被験者数を増やしてデータを追加した。この実験は、食事摂取の有無で再呼吸法によって評価する呼吸化学受容器反射がどのように変化するかを検討したものである。データを追加した結果、再呼吸前の安静時には、食事摂取により酸素摂取量や二酸化炭素排出量、換気量、呼吸回数、呼気終末二酸化炭素分圧が有意に高くなった。呼吸化学感受性については、呼吸回数に関する感受性が食事摂取によって低下することが示された。このことから、食事摂取は呼吸パターンを変化させる可能性が示唆された。その後、高糖質食の摂取がその後の運動時の呼吸循環反応に及ぼす影響について検討した。被験者は9名の健康な男性であった。被験者は2種類の食事(高糖質食と一般食)摂取90分後に50%VO2peak強度の運動を行った。運動直前の安静時において、深部体温に条件間で差はなく、高糖質食条件で一般食条件と比較して心拍数が有意に低く、呼吸回数が有意に高い値を示した。運動時には、深部体温に条件間で差はなく、高糖質食条件で一般食条件と比較して心拍数、換気量、酸素摂取量および二酸化炭素排出量が有意に低い値を示した。高糖質食を摂取したにも関わらず、二酸化炭素摂取量が一般食よりも低値を示したことは予想外の結果である。栄養素割合を変化させるためには食事の献立自体も変化させざるを得ないため、他の栄養素が何らかの影響を及ぼした可能性も考えられ、今後さらに検討をする必要があると考えられる。また、体温上昇に対する換気感受性を評価すると、高糖質食条件は一般食条件と比較して、体温上昇による呼吸回数の増加は小さく、一回換気量の低下が小さくなる関係がみられた。このことから、栄養素割合を変化させることで呼吸パターンが変化することが示唆された。
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Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism
巻: 39 ページ: 920-926
10.1139/apnm-2013-0506