心身の健康にとって継続的運動を習慣づけることは、世代を問わず重要な課題である。運動が継続しない人も多く、彼らは手軽にホームエクササイズができる環境をもとめており、心理特性としても運動の自己効力感が低く、脱落の原因である点が指摘できる。本研究は、運動習慣の無い層をターゲットとし、身体をコントローラとして使えるキネクトゲーム環境に注目した。運動ゲームの継続使用により、運動に伴う報酬の感受性と自己効力感を高めることが考えられる。また対人相互作用による満足度や達成指標を変率強化する実験を計画し、運動継続性へのポジティブな効果を確認する。運動環境に対して、運動習慣の無い層のニーズをくみ取る必要がある。月に1回程度運動をする層が運動施設や場所の充実・送迎・仲間・指導者の存在を求めるのに対して、全体の半数以上であった運動習慣の無い層は、一人でできるホームエクササイズを求めるという。
本研究では、運動習慣の無い層をターゲットとした実験的プログラムの実施を予定していたが、キネクトデバイスによる運動プログラムを実際に動作させる際に、適切に動作させるために時間を要し、加えて、キネクトデバイスを使った際の運動量を正確に評価する必要があった。そこで、運動習慣の無い大学生を対象として、トランスセオレティカル・モデル(TTM)に基づき、行動変容のプロセスを調査した。大学での部活動や授業での運動実施経験で、運動セルフエフィカシーが高まることが示唆された。これらの調査を継続・実施し、心理特性と運動習慣の関係性を検討していく。
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