研究実績の概要 |
本研究は,小中学生におけるノンアルコール飲料の摂取状況や,ノンアルコール飲料に関する知識や意識等の実態について明らかにすること,また,ノンアルコール飲料の摂取と飲酒等の危険行動との関連性や,ノンアルコール飲料の摂取の背景要因について明らかにすることを目的とした。 本年度は先ず,前年度に実施した予備調査の結果を踏まえて,質問内容の追加や質問文のワーディングの修正等の質問紙の改善を行った。続いて,栃木県内の公立の小中学校の中から無作為に抽出された小学校58校,中学校48校に在籍する小学校5年生(以降「小5」)および中学校2年生(以降「中2」)を対象に質問紙調査を実施した。 解析対象者数は,小5が1,711人,中2が1,381人であった。 調査の結果,ノンアルコール飲料の摂取経験者の割合は,小5が男子22%,女子18%,中2が男子26%,女子24%であり,複数回摂取している者も多く見られた。ノンアルコール飲料の初回摂取時期は,概して小学校高学年~中1の時期の者が多いが,小学校低学年に初回摂取する者も見られた。初回摂取のきっかけとしては「好奇心から(興味があったから)」が最も多い一方で,「親にすすめられて」摂取する者も少なからず見られた。ノンアルコール飲料の成分や開発目的等に関する知識を有している者は4割程度,「かっこいい」「大人っぽい」などの肯定的な意識をもつ者が1~3割程度見られた。 ノンアルコール飲料の摂取経験と,飲酒や喫煙との間には有意な関連が認められ,ノンアルコール飲料を摂取した経験の回数が多い者ほど,飲酒や喫煙がみられやすい傾向が示された。ノンアルコール飲料の摂取の背景要因としては,母親,兄弟姉妹,友人などの周囲の人々のノンアルコール飲料の摂取,ノンアルコール飲料の摂取に対する肯定的な意識,規範意識の低さ,セルフエスティームの低さ等が関連していることが示された。
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