研究課題/領域番号 |
25750346
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
近藤 慶子 滋賀医科大学, 医学部, 教務補佐員 (20566567)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 玄米 / 食物繊維 / 血管内皮機能 / 糖尿病 |
研究概要 |
我々は、肥満・耐糖能障害を有する被験者において玄米を用いた食事介入が血管内皮機能を改善し、この改善が終了後も持続(レガシーエフェクト)することを報告した。この効果は玄米に多く含まれる食物繊維によるものと推察されるが、レガシーエフェクトのメカニズムについては不明である。そこで、2型糖尿病患者において主食を玄米とした食事が血管内皮機能に及ぼす影響およびその機序について検討した。 2型糖尿病患者23名を対象とし、主食の種類別に玄米群(n=12)および白米群(n=11)を設け、2ヶ月間のランダム化比較試験を実施した。終了後両群ともに白米食にて2か月間フォローした。0,2,4か月に身体計測、食事調査、採血、血管内皮機能検査および腸内フローラ解析を行った。血管内皮機能はプレチスモグラフィー法を用いた最大血流増加率、血管拡張持続時間、血管内皮機能の指標であるFDRにより評価した。 摂取エネルギー量および体重は両群ともに試験期間中変化を認めなかった。食物繊維摂取量は玄米群でのみ2か月後約1.5倍増加した。HbA1cは2か月後両群共に有意に減少した。玄米群において2か月後に血管内皮機能のいずれの指標も改善を認め、この改善は4か月後に持続する傾向を認めた。一方、白米群では、試験期間中の変化を認めなかった。さらに、腸内フローラ解析の結果、玄米群でのみ、2か月後にBifidobacterium属の増加およびBacteroides属の減少を認めた。玄米群における血管内皮機能の改善と各パラメーターの変化との関連を検討すると、GA、血糖曲線下面積およびBacteroides属の変化との間に有意な負の相関を認めた。 2型糖尿病患者において玄米を用いた高繊維食は血管内皮機能を改善した。さらに、この改善は血糖あるいは腸内フローラの変化と関連する可能性が示唆され、現在その詳細について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究室には、過去に研究実績のある優秀な研究者が多数在籍しており、研究を進める際の助言を得ることができ、実際の進捗状況に関して毎週開かれる研究カンファレンスにて適宜修正を加えながら実験を進めることが可能な環境が整っているため、本研究はおおむ ね順調に進展している。 また、研究協力者として研究代表者の実験をサポート、補完する人員として実験助手が数名在籍しており、適宜助力を得ながら研究を進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの結果より、主食を玄米とした食事は血管内皮機能を改善し、この効果は持続する傾向を認めた。今後は、①目標である30名まで症例数を増やす、②血管内皮機能改善のメカニズムを検討するため、試験期間中の血中アディポネクチン、末梢血単球機能、ADMA(Asymmetric Dimethylarginine)、リピドミクスを測定する、③②の変化と血管内皮機能の関連を解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度計画の試験にて目標症例数に到達しなかったため。 目標症例数まで症例数を増やす際に生じる、主に検査費用に当てる予定である。
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