高齢者の閉じこもりには家族の関わりに特徴があるという質的な知見を踏まえ、高齢者本人に加え同居家族に対する縦断的調査により、閉じこもりをもたらす家族特性に関する尺度を開発、関連要因の解明から、閉じこもり改善のための家族に対する支援プログラムの構築を目的とした。 初年度は、閉じこもり高齢者に特徴的な同居家族の関わりに関する予備調査を実施した。閉じこもり高齢者9人と同居する家族9人を対象に,半構造化面接による訪問調査を実施した.同居している家族との日頃の関わりや,会話ややり取りの頻度・内容,サポート内容などについて尋ねた.二年目には、本調査として、2014年4月、福島県A村内在住で要支援・要介護認定を受けていない70歳以上の高齢者1229人と,その同居家族に回答を求めた。対象となる高齢者本人の他に,同居家族がいる場合には,その中でも特に調査対象者である高齢者本人と日頃から交流のある者1人に回答を求めた.回答を得られた対象者に対し、約1年後に追跡調査を実施した(調査時期は2015年9月)。追跡調査の対象者は高齢者本人のみとした。 初回調査時の同居家族の関わりにおいて、約1年半後の閉じこもり高齢者に対する関わりで強く寄与していた項目について、項目分析、因子分析、構成概念妥当性、予測的妥当性などについて検証し、閉じこもりをもたらしやすい同居家族の関わり尺度を開発した。またこれらの項目から、同居家族に対する情報提供、関わり方について保健師らに意見を求め、これらに加え、同居家族の関わり尺度に関連する要因についてデータ分析を実施し、得られた結果からプログラムを開発した。
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