研究課題
本研究は簡便な筋内組成評価法(筋の質的評価法)として超音波画像から算出する筋輝度に着目している。平成26年度は、これまでに取得したデータの分析を中心に行い、以下2つの実験を実施した:実験1)再現性の確認(対象者:要介護者を含む高齢者21名)、実験2)低体力高齢者を対象とした骨格筋の評価(対象者:自立不能な高齢者を含む心臓疾患患者28名:男性18名、女性10名)。得られた知見は以下のとおりである。①筋輝度と一般的な筋内組成評価法であるCTを用いた手法(骨格筋CT値)にて若齢者および高齢者の筋を評価し、年代別に比較すると、筋輝度は高齢者で有意に高値を(P=0.001)、CT値は高齢者で有意に低値を示した(P<0.001)。また、両指標間に有意な相関関係が観察された(r=-0.454;P<0.001)。以上のことから、筋輝度は筋内組成を反映していると考えられる。しかしながら、得られた相関係数はやや小さく、年代別にみた場合、高齢者では有意な関係性が認められなかった。したがって、筋輝度およびCT値に影響を及ぼす因子は異なるのかもしれない。②70歳代の女性を対象とした部分的な分析では、膝伸展筋(大腿直筋)の筋輝度(筋の質)と等尺性膝伸展筋力の間に有意な負の相関関係が観察された(r=-0.274;P=0.005)(渡邊ら 2014)。③心臓疾患患者は、健常高齢者に比べ、筋厚が低値で筋輝度が高値であった。身体活動量の低下は、筋量だけでなく筋内組成にもネガティブな影響を与えるのかもしれない。
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Geriatrics and Gerontology International
巻: in press ページ: in press
10.1111/ggi.12427.[Epub ahead of print]
京都学園大学経営学部論集
巻: 24 ページ: 95-105