研究実績の概要 |
ストレッチング中の筋電図活動は、柔軟性の低い者で大きいため、ストレッチング中に起こる様々な刺激は柔軟性の低い者で大きいかもしれない。加齢によって柔軟性が低下することを考慮すると、中高齢者ではストレッチングによる動脈壁硬化度の応答が加速され、より大きな変化をもたらすかもしれない。そこで本研究は、若年者および中高年者を対象に、一過性のストレッチングによる動脈壁硬化度(baPWV)、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、心拍数の変化を比較した。ストレッチングは、全身の静的ストレッチングを40種目実施した。動脈壁硬化度、血圧、心拍数は、ストレッチング前および直後に測定した。 健康な若年および中高年男女49名(若年者24名:23.8±2.2歳、中高年者25名:57.4±9.1歳)を対象とした。2元配置の分散分析(年齢×時間)の結果、baPWV, 収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、心拍数の変化に有意な交互作用は認められなかった(P>0.05)。baPWV、心拍数においては、時間による主効果のみ認められ(P<0.01)、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧は年齢および時間による主効果が認められた(P<0.01)。baPWV、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧はストレッチング直後で有意に増大し、心拍数は有意に低下した。 本研究から、ストレッチング直後では、動脈壁硬化度、血圧は増大し、心拍数は低下するが、その応答に年齢による差は認められなかった。
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